概要
――あの日、姉はパンツに壊された。
最愛の姉を廃人にされた少女・小春は、自らも斧を取り、パンツを狩る者……下着屋(パンター)となった。
彼女の目的はひとつ。あの日失くした、姉のパンツを見つける事。
壮絶な戦いが始まる。
パンツ×アクション×少女。未曽有のShitagi-Fiction小説!
【初めてでも安心な用語集】
パンツ:
女性用の下着。野生化し、空を飛び回り、主に群れで行動する。
農作物を荒らされたり人々が襲われたりする被害が絶えない。
下着屋(パンター):
害獣・パンツを捕獲する事を生業とする専門家。
農家や町内会、時には警察などから依頼を受け、群れの駆除や特定のパンツの捕獲を行う。
中毒者(コレクター):
パンツの香り
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!突っ込んだら負け
本作は、特殊な「害獣」が蔓延る世界で活躍する「害獣」退治専門家の少女たちを書いた小説です。
かつて「害獣」に敗れてしまった姉への想いを胸に戦う主人公の少女の姿は、気高く、雄々しく、そしてどこか痛々しくもあります。そんな彼女を嘲笑うかのように「害獣」たちは絶え間なく現れます。そしてついには人語を介する個体まで登場し、戦いは熾烈を極めます。
しかし悪いことばかりではありません。彼女には戦友がいます。同じ「害獣」退治専門家である少女たち。主人公を師匠と慕う一人を除いてただの同業者でしかなかった彼女たちが仲間となった時、際限なく広がるように思われたパンデミックは一つの収束を迎えます。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!頭を真っ白にして読む小説。そう、純白のパンツのようにね
あらすじからして恐ろしくシュール。ともすれば一発ネタ的に見えるが、その内容は驚くほど正統派のバトル小説である。クレイジーな世界観を土台にしながらも物語全体の雰囲気は常に理知的であり、圧倒的密度で描かれる戦闘シーンは圧巻の一言。
この作品の登場人物の殆どがプロの下着屋(パンター)であるため、パンツが空を飛んで人を襲うことについて今さら何かを感じる者など作中には存在しない。
この「ツッコミ不在」という要素が本作の狂気を高めている一因であることは間違いなく、我々読者は「あれ?ハーブでもやってるのかな?」と思うような展開に出くわしてもとにかく目の前の状況を受け入れて読み進めるしかないのだ。
謂わば…続きを読む - ★★★ Excellent!!!パンツの一言で狂った世界、戦う少女
空飛ぶパンツが人々を襲う世界、それと戦う少女たちがいた。
パンツ……じゃなくてワンフレーズで描き切ってしまうにはもったいない頭のおかしさですが、実際その一言を元に現実との相違を見事に肉付けしていて、大真面目、かつナチュラルに狂った世界を描き出しています。
言葉遊びと言うか、現実の言葉や事物……なんでしょうが、カバン語というか二重の意味を持たせてツッコミどころとする手法が冴え渡り、日本語の神髄を見た気がしました。
よくぞパンツからこうも説得力のある世界を生み出されました。
実際、作中でも度々触れられていますが根源的(プリミティブ)なものをパンツに見出してしまうのは全く不自然で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!目が離せない死闘、空飛ぶ害獣パンツVSパンツ狩りの少女たち!
えっと、わたしの気が狂っているわけではなく、本当に↑のとおりなんです。信じて下さい。
色鮮やかに空を舞うパンツたちは、人間に危害を加え、やがては廃人化させてしまう悪しき害獣。
そんなパンツに立ち向かうのは、悲痛な過去を胸にバトルアックスを振るう少女・織野小春。
ガワだけ聞けば、正気を疑われかねない内容ではあります。
しかし、描かれる世界・繰り広げられる戦いは極めてシリアス。
戦闘描写のそこここに相手がパンツならではの工夫が盛り込まれ、
小春ちゃんが峻厳な覚悟で戦えば戦う程、異常な絵面が想起されて笑いが込み上げてきます。
――あるいは、この作品こそが真のパンツなのかもしれません。
『害獣…続きを読む - ★★★ Excellent!!!圧倒的実力で描かれるクレイジー世界
登場人物はシリアス! でも敵はパンツ!
このギャップがたいへん面白いです。我々読者からどんなに珍妙に見えたとしても、作中世界ではパンツは真実おそるべきモンスターであり、立ち向かう人々もまた誇り高き戦士なのだ……!
素晴らしいのは、二つの魅力を見事に両立しているところではないでしょうか。
頭のネジが外れたかのごとき設定の通り、読んでまず第一に襲ってくるのは笑いの波です。なんじゃそりゃあ!? と言わずにはいられない、「我々からすれば」愉快な下着屋たちの珍道中。
しかし一方で、それだけではない。因縁ある怪物に立ち向かう少女の物語。精緻かつ鮮やかなアクションシーン。そういった正統派の魅力すらも、こ…続きを読む