突っ込んだら負け

 本作は、特殊な「害獣」が蔓延る世界で活躍する「害獣」退治専門家の少女たちを書いた小説です。

 かつて「害獣」に敗れてしまった姉への想いを胸に戦う主人公の少女の姿は、気高く、雄々しく、そしてどこか痛々しくもあります。そんな彼女を嘲笑うかのように「害獣」たちは絶え間なく現れます。そしてついには人語を介する個体まで登場し、戦いは熾烈を極めます。

 しかし悪いことばかりではありません。彼女には戦友がいます。同じ「害獣」退治専門家である少女たち。主人公を師匠と慕う一人を除いてただの同業者でしかなかった彼女たちが仲間となった時、際限なく広がるように思われたパンデミックは一つの収束を迎えます。

 個性的で魅力的なキャラクターや手に汗握るアクション描写が作品にのめりこませてくれる良作です。タイトルやあらすじに不可解な面が目立つかもしれませんが、まずは是非一度、騙されたと思って読んでみて下さい。







 ※なお本作における「害獣」は空飛ぶパンツです。

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