第18話 魔導王国

知り合いの下着なら、高ポイントが貰える。

直接脱がせば、更に+10pt。

クラスメートや王女なんて、かなり魅力的なのだが・・・

下着を貰う言い訳なんて、思いつかない。

ましてや、直接脱がすとか、無理ゲーだ。


セライアの話では、王家の連中も、ガチャのスキルの存在は把握していないらしい。

つまり、下着を集めている事がばれても、俺の能力が疑われる心配は無い。

残念性癖の持ち主・・・そうカミングアウトすればワンチャン・・・?


ただまあ、今は、毎日10ptずつ入るので、少しだけ心の余裕が有る。


言いつつ・・・何となく、城へと足をのばしたのだが。



何か、阿鼻叫喚の地獄絵図になっている。



メイド、偉いさん、王女、クラスメート達・・・なんか、超ドタバタしている。

何があった?


手近なメイドさんを捕まえて、聞いてみる。


「あの、すみません。みなさん大変そうですが、何かあったのですか?」


「す、すみません。急いでいるので」


メイドがそそくさと走って行く。

むう。


セライアに聞いてみるか?


「あ、田中さん!」


王女が俺を見つけ、駆け寄ってきた。


「これは王女様、何かあったのでしょうか?」


「はい・・・ちょっと大変な事があって・・・田中さんのご学友にも、手伝って頂いています」


それは俺にも何かしろと言う事だろうか。

俺ができる事なぞ何もないぞ。


「実は・・・魔導王国、エルブンが、みなさんのお披露目を兼ねた夜会に参加する、と回答がありまして・・・」


「やばい国なのか?」


魔王関係?


「なんと言いますか・・・エルブンは、人間に魔法を教えた上位種族達、御神に近しい半神達が住まう国・・・これまで、幾度の魔族の侵攻でも、不干渉を貫いていたのですが・・・」


敵でもなさそうだ。


「一応、形式的に式典にはお誘いし、先方が断るというのが通例なのですが・・・今回、まさかの参加の返事がありまして」


参加されたら困るのなら、招待するなよ。


「3000年前のグロウリア建国以来、かの国が招待に応じるのは初めて・・・失礼が有れば、国が即座に滅ぼされても不思議では有りません・・・」


「・・・いや、流石に大袈裟では・・・」


半神っていうか、最早神様だな。


「ですので、少々ばたばたしておりますが、お許し下さい。田中さんも、何か街で噂を仕入れましたら、伝えて頂けると嬉しいです」


報酬の下着次第かな。


「了解しました。何か分かりましたらお伝えしますね」


忙しそうだから、帰ろう。


--


「うん、エルブンが来るらしいね」


下着を脱がせつつ、話を振ってみたが。

セライアがあっさりと肯定する。


「やばい国なのか?」


下着をガチャに放り込む、ポイントが増える。


「んー、大袈裟だと思うよー。単に、異世界召喚者を見に来るだけじゃないのかな」


セライアが、バスタオルをまいてお風呂へと向かう。


「異世界召喚ってそんなに珍しいのか?」


魔王の侵攻の度に召喚してたんじゃないのだろうか。


「人類史が存在する限り、初めてかな?勿論、記録に残っていないだけで、こっそり召喚されていた可能性は有るけれど」


お風呂の中から声がする。

少し扉を開けているから、声は普通に聞こえる。

意外と自力で頑張っていたらしい。

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