第7話 神蛍

「それより、委員長。この近くに丁度、聖地有るよね。行ってみる?」


「有るの?!」


聞いてないのか。


「じゃあ行こうか」


金目の物を探査していたら、偶然見つけたのだ。

どうせ、最初の巡礼地として行く事になるんだろうけど。


--


ぎぎぎ・・・


香菜山が扉に手を置くと、ゆっくりと扉が開く。

危ないので、香菜山の陰に隠れる様に進む。


「暗いわね」


「秘跡で神蛍召喚してよ」


「・・・あ、明るい」


聖女の秘跡、神蛍。

ただ照らすだけではなく、気候を和らげたり、トラップに気付き安くなったり・・・色々と便利だ。

効果時間も長い。

良いなあ、聖女。


「田中君、良く知ってたわね」


しまった。


「・・・前話したろ?色々教えてくれた人がいたって。その時に聞いたんだ」


「そうなのね・・・色々聞かせて欲しいわ?」


「言われても・・・殆ど忘れたんだよね。ふとした拍子に思い出す」


そう不自然な言い訳では無い筈。


香菜山が敵を倒し、ついていくだけのお仕事。

途中で、一撃では倒せなくなったので、秘跡の浄撃に切り替えさせた。

少し集中する必要はあるが、低コスト低燃費、神聖魔法の奥義より強いというチート魔法。

聖女ずるい。


香菜山のレベルが面白い程上がっている。


・・・ん。

鑑定不可?


「委員長!」


「え?」


「引き返そう。やばい予感がする」


「でも・・・もう少しだけ──」


ずん・・・


純白の鎧っぽいゴーレムが、歩いてくる。


「浄撃!」


香菜山がチート魔法を放ち・・・ゴーレムがあっさり弾く。


「委員長、逃げるぞ」


叫び、香菜山の手を握ると、走り出す。

あれはやばい。


「な・・・何あれ・・・?!」


普通にガーディアンじゃね?


やばいな・・・このままじゃ追いつかれる。


ひゅっ


フライングソードを放つ。


ガゴン


胸を撃ち抜くが、バランスが崩れただけ。

くそ・・・核はあそこじゃ無いのか?


ひゅひゅ


ガゴガゴン


額、腹部・・・


ギ・・・


動きが止まる。


「良し!」


「ふえ・・・ふええええええ?!」


香菜山が叫ぶ。

やばい、誤魔化さないと。


「・・・エルフから御礼に貰った、切り札のマジックアイテムを使い切ってしまったか・・・」


「そんな大切な物を?!」


「大丈夫・・・委員長さえ無事なら・・・俺は、満足だよ」


「田中君・・・何故・・・何故ここまでしてくれるの・・・?」


俺は、香菜山を見つめ、


「そんな事・・・言わせないでくれよ」


「田中君・・・」


何このノリ。


「とりあえず・・・先に進もうか」


香菜山が、こくり、と頷いた。


--


<聖女よ・・・よくぞ此処まで辿り着いた>


頭の中に響く声。

俺にまで聞こえるということは、ターゲットの認識が甘いのか、それともそういうものなのか。

はっ、もしや俺にも聖女の素質が!

ないない。


「頭の中に・・・声が響いてきます」


香菜山の実況。


<ここまで巡った、8箇所の聖地・・・その経験を活かし、よくぞ9箇所目の此処に辿り着いた>


1箇所目ですけど。

順番管理雑いな。


香菜山が微妙な顔をしている。

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