第16話 災厄の獣

「認識阻害と侵入防止の結界じゃの。待っとれ」


マゾーが結界に触れ、細工する。

解除する事は容易だが、それをすると世界の管理者が困るので、一時的に騙す方法をとるらしい。


更に先へと進む。

絢爛豪華な部屋、中央に祭壇。

祭壇の上には浮遊するクリスタル。


「ナイスゴージャス!やっぱりこの世界は良いねえ!映える、映えるぞおおおおお!」


「ひょひょ・・・前任者がこういう方面ばかり気にしてたからの。手がこんどるわい」


「豪華、とはいっても、無駄に配置すれば品が無い。これは良いな。鉱物の色合い、造形、魔力の流れ・・・調和している」


リュウ、マゾー、ロビットが感想を述べる。


「俺は異世界は初めてだが、本当に凄いな」


俺は、素直に感嘆する。

滝の裏の洞窟も圧巻だったが、これはこれで凄い。


「じゃあ、撮るぞ」


ロビットがいそいそと、見覚えのあるデジカメを用意する。

異世界人からも、某社のデジカメは好評らしい。


全員揃っての撮影は、マゾーが召喚した使い魔。

リュウが一人でポージングをするシーンは、ロビットが撮影。


「良いね、いつも通りのキレだな!」


ロビットがクリスタル背景に、リュウをパシャパシャ連射。

超楽しそう。


--


それなりには稼げたものの、レベルは全然上がらない。

多分、PTメンバーとのレベル差が大き過ぎるのと、オレ自身は何もしていない事か。


セライアがスキルを見たがったので、連れてきた。

まあ、護衛にはなるな。


「あまり強い敵だと、俺が瞬殺される。弱い敵を狙うぞ」


「了解。なら、ダンジョンは避けて・・・街道沿いを行けば良いかな」


ゴボゴボ・・・


さっそく、サンドクローラーが地面から出てくる。


ひゅ


フライングスピア、サンドクローラーを撃ち抜く。

死なない。


ひゅひゅひゅ


続いて3本。


どすん


サンドクローラーが倒れる。


うわ、4発も使った。


やはり、俺の狩りは効率が悪過ぎる。


「・・・やっぱり、災厄の獣を狩っているのはキミだったのか」


「災厄の獣?」


「うん。出逢ったら死を覚悟する、と言われる獣だね。今のは、ヴェノムワーム。少し前に、近くの砦を壊滅させた」


セライアの与太話。

普通のサンドワームだよ。

鑑定耐性が異常に高いだけの。


「我が獲物を殺したのはそなたか?」


大きなトカゲが、尋ねる。


「サンドワームか?狙っていたのか、悪かったな」


「構わんよ。代わりに、そなたの命を貰い受ける」


「すっけるとおおおおん!」


先手必勝。

言葉話す魔物って、次の瞬間殺しにかかってくるから困る。


10体のスケルトンが、盾やら剣やら斧やらを持って飛び出し、次々にトカゲの身体を傷付ける。


「馬鹿な?!我が身体に傷だと?!」


叫ぶ。

お前は選択を間違えた。

叫ぶ間に反撃すべきだった。


かすかな隙に勝機を見出し──


「フライングソード!」


ゴッ


7本の剣が飛び、次々とトカゲを射抜く。

眉間、喉、眼、心臓、足・・・


「ぐぬおおおおおお、貴様ああああああ!」


いや、死ねよ。

何故か元気に大口を開けると、俺に向けて、


ゴウッ


プラズマを吐き出す。

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