第33話 ノリが良い

「どうする?フライとワープ、どっちで戻る?」


「それ、どっちも一瞬だよね?!」


フライは一瞬ではない。

1秒よりは遥かに短いが、一応、僅かに時間がかかる。


「ほら、さ。少し、私達で掘ってみないかな?」


「ふむ・・・スケルトンを呼ぶか」


「もう、良いから、お弁当食べて昼寝しよう!!」


セライアが俺の肩をがっしり掴む。


セライア、そういう所だぞ?

まるで、お弁当食べて、昼寝したい様にとってしまう。


いや、そもそも、この調査自体、


「まるで、調査は口実で、俺と遊びに出掛けたかっただけみたいだな」


セライアは、怒りに顔を紅潮させ。

怒鳴る。


「ば、馬鹿を言うな!キミと出掛けたいだけだなんて、そんな訳が無いだろ!私が興味が有るのは、古代の知識、遺跡、スキル、世界の仕組み、そういったものだけなんだからな!」


分かりきった事を、大声で叫ぶセライア。


「その割に、この前の遺跡では大人しかったな。神の造った祭壇。近くには世界創造の資料が保管され、世界の法則を操る機構すらあったのに」


「あ・・・あれは、キミと写真とって・・・それが嬉しくて、満足してしまって・・・」


ああ、綺麗な景色の写真貰って満足したのか。

確かに、あの風流な場で知識が云々と言うのは野暮。


セライアが、何かに気付いた様な表情を浮かべると、


「違う!誤解だ!私は風景に満足したから、学術的調査は野暮だと判断しただけだからな?!キミに対して欠片も恋愛感情が無いし、一緒に写真撮れて嬉しいとかで満足したんじゃ無いんだからな?!」


知ってるよ?!

何でわざわざ言い直したの?!

キミ、俺を馬鹿だと思ってないか?!


俺は、苦笑すると、


「ともかく、お弁当を食べて、休憩しようか。せっかく作ってくれたんだろ?」


「ち、違うからね!キミの為に4時に起きて作ったんじゃ無いからね!!」


違うの?!

俺の為半分、自分の為半分じゃ無かったのか・・・?


「朝ごそごそ、鼻歌歌いながら作ってたのは、俺の為でも無かったのか」


友人と楽しくランチ、その為だと思っていたが。

単に遺跡が楽しみだっただけか。


「起きてたの?!」


起きてちゃ駄目なのか?!

セライアの頭に手を乗せ、


「有難う、セライア。キミが作ってくれた美味しいお弁当、早く食べたいよ」


「うう・・・ずるい」


不満らしい。


最近、セライアの思考が読めない事がある。

例えば、此処でずるい、という感想が出てくるのは、有り得ない筈だ。


ぱくり


サンドイッチを口に運ぶ。

美味い。


「うん、愛情たっぷりで美味しいよ」


「え、うそ、バレちゃうの?!」


セライアが慌てた様に叫ぶ。

本当に、セライアはノリが良い。


--


「これで・・・貯まった」


セライアから入手したブツを投入。

貯まったポイントを使い、11連を。


「どんな感じに出てるんだろうね」


セライアが、興味深そうに見ている。

ガチャ自体は見えないらしいから、俺がパントマイムしている様に見えるのかな。

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