第25話 悪夢
本当にセライアは、サラ王女の下着を貰うつもりだろうか。
昨日の今日ではあるのだが。
何となく、今日も城へと足を運び──
ごうんっ
突如、爆発。
何事・・・?
「しゅ・・・襲撃だあああああ」
上がる悲鳴。
次々と起きる爆発。
あれは・・・?
醜悪な合成生物が、城を、人を、噛み砕く。
熟練の兵士達が現われ、対応。
いったい何処から・・・?
・・・空か。
街の防衛機能をやすやすと無視して、無数の飛行物体が空を覆う。
そこから、無数の魔物が降下。
おい、サラ王女様。
何処が、城の護りが盤石なんだ?
「この・・・!」
香菜山が秘蹟を行使。
激しい光の奔流が敵の貴族っぽい奴に突き刺さり。
パン
弾かれる。
哄笑を上げる貴族っぽい奴。
鑑定・・・レベル10,000オーバーのヴァンパイア。
魔族?
す
相手に気付かれるより前に、スロウスピアで魔族っぽい奴の胸を狙う。
俺の様な弱い奴は、相手が攻撃してきたら即死する。
相手が攻撃する前に、どれだけ攻撃をたたき込めるか。
それだけが、勝機。
声を上げたり、悲鳴を上げたり・・・そんなのは愚策。
ただひたすらに、とにかく惜しみない先制攻撃。
それだけが、弱者の生存戦略。
カキッ
いつの間にか俺の目前に移動し、俺の胸にヴァンパイアの剣が当たっている。
自動発動したシールドに阻まれたお陰で、助かった。
あぶねえ。
名乗りも上げず、いきなり脇役を殺しに来るとか、それ強敵の美学的にどうなの?
デスを発動。
ヴァンパイアが灰となり、散る。
「田中君?!」
香菜山が驚きの声を上げる。
「ふう・・・何故か急に灰になったから助かったよ。あいつ、きっとヴァンパイアだな。日光の下に出てきたら、灰になるに決まっているじゃ無いか」
「・・・今・・・敵の剣を防いだ・・・?」
「ああ。とても効果なマジックアイテムを胸ポケットに入れておいたお陰で助かったな」
「えっ、また借金が増えた?!」
「いや、だから、返さなくて良いって・・・」
とにかく・・・なんとかしないと・・・
「止まれ」
時間が停止。
この糞スキルは、30秒しか時間を止めてくれない。
今の内に・・・
視認できる範囲に対し、意識を向け・・・
「ソードストーム!」
ヴ
無数の剣が出現、空中に停止──せず、そのまま飛び去る。
ザシュザシュ
空の一団を貫いていく。
一方的に攻撃できるのか。
少しは役に立つのかもしれない。
時間停止解除と同時に動き出して飛んでいくのかと思ったよ。
「ソードストーム!ソードストーム!ソードストーム!」
これで8割方の体は貫いた筈だが。
数万本単位で剣が飛ぶので、思っていたよりは多い。
使用回数の少なさは残念だけど。
「スロウスピア、スロウスピア!」
大きな魔獣を幾つか撃ち抜き・・・って、時間が動く──?!
ず
ずど
ぶしゃあ
巻き起こる血飛沫、砕け散る肉塊、頭が吹き飛ぶ魔獣。
目に見える範囲の8割程は潰せたとは思うけど・・・これで少しは戦況がましになったか?
「スケルトン!」
援護に、スケルトンを召喚。
10体程のスケルトンが駆け。
ザザザザザンッ
各々、次々と魔族の首を撥ねていく。
1回攻撃したら消える訳でも無いんだな。
探査・・・何だこれ。
凄まじい力の持ち主が集まっている?
その場所へと、転移。
青い顔で座り込むセライアと、何だか偉そうな魔族達。
俺へと意識を向け─
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