第3話 はいてない

「でね、最近伸び悩んでて・・・」


数日後、香菜山かなやまに会いに行くと、そう打ち明けられた。

俺が秘密を共有したから、悩みを吐露できると思ったのだろうか?

双方性の原理、とか言うんだっけ。


鑑定を行使する。


***************************************


名前:

 香菜山かなやま詩織しおり

レベル:

 1

職業:

 聖女

ステータス:

 STR 109

 DEX 104

 AGI 89

 VIT 301

 MAG 1033

 MEN 1022

スキル:

 神聖魔法 Lv.10

 秘蹟 Lv.3

 成長率アップ Lv.1

 成長速度アップ Lv.1


***************************************


もう成長しなくて良いんじゃね?

とか思ってしまう。

とりあえずレベル上げれば良いんじゃ・・・?


ん。


鑑定って香菜山かなやまも持ってないのか。

自分のスキル詳細とか見る時に不便そうだけど・・・


「魔物を倒してレベルを上げたり・・・後は、聖地を回れば良いんじゃないのか?」


とりあえず、伸ばすならそこですよね。


「うん・・・魔物は、数ヶ月後にレベル上げを予定していて・・・聖地?」


香菜山かなやまが不思議そうにする。

ああ、聞かされてないのか。


「聞いた話だと・・・聖女のスキル、秘蹟は、聖地巡礼すればレベルが上がるだろ?そうなれば強さが格段に上がる筈だ」


「そうなの?!というか、何で知ってるの?!」


鑑定しました、とは言えない。


「聖女のスキルは有名だからね。冒険者ギルドに出入りしていれば・・・嫌でも情報は入ってくるよ」


「あ・・・そうなんだ」


納得してくれたらしい。


「まあ・・・魔物を倒しに行くなら、付き合うよ」


そのステータスなら、絶対に護衛なんていらないだろうけど・・・流石に、外をうろついている俺の方が地理には詳しい。


「うん・・・有り難う」


香菜山かなやまが頷く。


流石に、毎回下着をねだるのは怪しまれる。

今回は話を切り出さず、香菜山かなやまと別れて城を後にする。


さて・・・


--


俺自身、レベルが伸び悩んでいる。

成長スキルは無いからか・・・そもそも、実は既に上限レベルに達しているのか。


ん。


あれは・・・オークの集団。

オークの集団って、敵で良いんだよな?

いや、実は友好的だったらえらい事だ。

念のため確認して・・・


「やあ、兵士様。せいが出ますね」


「何だ貴様は。男は・・・殺す」


敵じゃん。


凄まじい速度で戦闘態勢を整えるが・・・待ってやる義理は無い。


「ドラゴン!」


敵を視認、対象の者をターゲットに、ドラゴンを召喚。


ゴウッ


骨も残さず、オークの群れを焼き切る。

さて・・・運んでいた荷物は、残した。

これ、自分の物にしても良いよね?


荷物を解き・・・


「・・・ぷはっ」


中からエルフが出てきた。

うわ。


「・・・あの・・・助けてくれたのでしょうか・・・?」


やばい・・・見られたか・・・?

いや、ぎりぎりセーフな筈。


いかにもエルフって感じの、可愛い女の子。

金髪青目、とがった耳。


ちなみに、金銀財宝は特に無いようだ。

大方・・・森の外周部で遊んでて、オークに連れ去られたとかか?


「そうだ。流石に可愛い子が豚の慰み物になるのは、見過ごせなかったのでね」


「可愛い・・・ですか・・・」


エルフが俯く。


「あの・・・何と御礼をすれば良いか・・・」


う。

ややこしい事になっても困る。


「なら、あんたの下着をくれ」


「下着・・・ですか?」


「そうだ。女性のショーツとブラジャー・・・俺はそれに興奮するんだ」


「ショーツ・・・ブラジャー?」


エルフが小首を傾げる。

まあ、特殊性癖ですよね。

日本なら一般的なのだけど。


「そうだ・・・今つけている物を・・・そのままくれれば良い。代わりは渡そう」


空間収納からブラジャーとショーツを取り出す。

サイズが分からないから、複数種類。


「・・・これ、何ですか?」


エルフがきょとんとする。


・・・ああ。


エルフ、つけないのか。

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