脈々と流れる旧き鬼の命脈。譲れぬものを守るとき、少年はヒーローになる。
東京の国立駒場高校に通う『人造戦鬼』二号・的場佳奈子は不老の改造人間である。鬼の体組織を組み込み彼女を改造した関東軍は、戦時中に中国進出を企んだ満州駐屯軍だった。終戦を経て復員した佳奈子は一介の女子高生として現代の日々を過ごしていたが、ある日『戦争の落とし子』を抹殺する任務を帯びた防衛装備庁の特務機関からの呼集を受ける。佳奈子は自らを狙う女性自衛官・杉原たかね三等陸尉と果たし合った際、佳奈子を慕う後輩の美少年・牧原潤を巻き添えにしてしまう。命を繋げることで他者を治癒する力『遠隔衛生』で潤を助けた佳奈子は、潤と離れると鬼の力を使えない状況に陥ったことで潤との不埒な同居を始める。一方、鬼の血を引く家に産まれた潤は、佳奈子と繋がったことで先祖返りを起こし始める――
[登場人物紹介]
・的場佳奈子
国立駒場高等学校三年生。関東軍が開発した不老の改造人間『人造戦鬼』シリーズの第二号被験体。通称『人造戦鬼二号』。黒髪長髪の美少女で、兄・的場幹一郎と共に駒場に住む。
・牧原潤
国立駒場高等学校一年生。女顔の美少年で、まだ声変わりをしていないのがコンプレックス。姉・牧原美咲と共に駒場に住む。佳奈子の戦闘に巻き込まれて傷を負い、成り行きで佳奈子と同居することになる。
・杉原たかね
防衛装備庁技術研究本部の三等陸尉。佳奈子のような「戦争の落し子」を抹殺することを任務とする。自衛官ではあるが、正規の装備品ではない日本刀で戦う。
・佐藤優理也
防衛省情報本部の一等陸尉で、主任分析官。平成四年度生まれ。平成二十七年三月、同志社大学神学部卒業。のちに事件を巡る自衛隊側の現場指揮官となり、杉原三尉の上官となる。三等陸尉時代に第十一次南スーダン派遣施設隊に所属しており、平成二十九年四月に帰朝している。