現実と仮想ゲーム
おかしい もう寝たのか?
まだ22時なんだが 電話に出ねーな
折り返し来るかも知れないし、今のうちに台本でも読み直ししておくか
バックから台本を取り出す 。表題には『フラジャイルメモリー』と書いてある
脆い想い出? とか、そんな感じらしいが、通しで読んでみると、とてもハッピーエンドは期待出来そうにない話だった
ふと、スマホ画面を見るが ひまりからは連絡がなかった。
0時もまわったし今日はもう、折り返しもないだろうし俺も寝るか
※※※※
「陽太! もう少し自然に振る舞えないのか? 」
初日の稽古中で、さっそく脚本を書いた大地に怒られた
芝居なんかした事ねーし 仕方ねーだろ!
「陽太の役は全てを否定している様な少年が、マリーと触れ合う事で優しさを少しずつ知っていき、どうにか、アンドロイドのマリーも笑顔にしたい。って役なんだから、微妙に移っていく心情を仕草でも表現出来ないと」
「求めるレベルが文化祭レベルじゃねーだろ! ひまりはどうなんだよ? 」
「ひ ひまりさんはアンドロイド役だから、逆に無感情でOK! アンドロイドよりもアンドロイドっぽいし、素のままで大丈夫」
アンドロイドよりもアンドロイドっぽいって誉め言葉なのか?
「で でも、私も言葉に出して言う台詞ってのは苦手……です」
弱々しくひまりが呟くと、偉そうに膝を組み椅子に座るあかりが、メガホンを口に当てる
「ひまりちゃんは台詞も少ないし、最悪あかりが声真似すればバレないから、吹き替え必要なら、あかりがやるから大丈夫! 」
確かに双子だけあって 声は多少あかりが高いだけで 意識して真似しようと思えば どっちの声か分からない位に似てはいるが
「舞台に吹き替えって、普通ねーだろ! ひまり。俺も頑張るから一緒に頑張るぞ! 」
ひまりに声を掛けたが、プイッと横を向かれてしまった……
マジで何か怒らせる様な事しましたっけ?
「ひまり……髪切った? 」
「切ってない」
「あぁ 色が少し明るくなった? 」
「染めてなんかない」
「や 痩せたよね? 」
「皮肉で言ってるの? 言葉通りに皮の下に肉が余り出して体重は少し増えたんだけど」
ジト目全開で元の立ち位置に戻っていくひまり
やべー 逆に怒らせてしまった……
その後の練習では一切 俺と目を合わして来なかった
劇ではアンドロイドのマリーとはすれ違いの恋になるのだが
リアルでもなってるのが余計に二重で苦しい
この劇やだなぁ ハッピーエンドが良いんだけど
で、劇の練習も終わり、足早に帰るひまりの背中を見送った後 海斗とあかりと3人で恋愛同好会に行くと、来栖が先に来ていた。
「クルース、早いね」
「私はクラスの出し物とか参加しませんから」
「そっか。で、中等部もミスコン参加者出揃ったみたいだね。全部で6人か」
「みたいですね。去年の優勝者と一昨年の優勝者も出てますし、他もカースト上位の人気ある子ばかりですよ」
「カーストとかだっせ! そんな事を気にしてんのか? せまっちい学校の中だけでヒエラルキーとか作っちゃって世界が小せーな」
思わず毒づいてしまった。ムッとした様に眉間にシワを寄せる来栖
「私だって最初はバカみたい。とか、下らないとは思ってましたよ。でも、中学生何て1日の大半は学校にいるんですよ? なら少しでも居心地が良いように過ごすのは理解は出来ます」
「ひなちゃん。俺たちは、もうひなちゃんとは友だちだと思ってるよ。休憩時間とか放課後とか、ここに来れば俺たちいるし、まだ、知り合って間もないけど、もっとひなちゃんと仲良くなりたいし」
「……海斗先輩……」
形の良い目を丸くしたかと思うと、テーブルにぶつかるぎりぎりまで頭を下げる来栖
「ごめんなさい。これ以上、海斗先輩と仲良くなったら妊娠しちゃうので、中学生で母親とか私には無理です。高校生の父親も絶対無理です。公務員で料理が出来る旦那さんが良いので」
「いや、ひなちゃん。考えが極端過ぎなんだけど疲れない? 俺の兄貴なら外交官だから国家公務員で料理上手だけど」
「思いっきり疲れますし、お兄さんを紹介して下さい。最初から金髪碧眼で攻めますから」
苦笑いを浮かべ こっちを見て来る海斗
「なぁ 来栖はクラスメイトと仲良くなりたいの? それとも見返したいの? 」
「……私は」
っと、突然テーブルにそれぞれ置いていたスマホが振動した
「すみません。スマホ弄りますね」
「あ あかりも」
俺もスマホを確認するとゲームの討伐クエストのお知らせが入っていた
「じゃあ 俺も」
「なんなの? 3人が同時にスマホ弄ると俺が暇になるんだけど」
「赤ピはナンパしてきなよ。最近は恋愛同好会らしいことやってないから、1人で最悪な出逢いからのジレジレな展開を挟みつつ、最後はキュンキュン来るような恋愛ごっこでもやってきなよ」
「そういえば、花森ちゃんとの出逢いも最悪だったけどな」
『「ふ~ん 興味ない」です』
あかりと来栖にハモられ、悲しい顔で机に突っ伏し、ため息をつく海斗
俺はそこそこ興味はあったが、それはそれでゆっくりと聞きたかった
(マミちゃんもテレジアさんもこんにちは)
(今日は、最近はイベント多いですね)
(イスラ、こんな小娘ほっといて お姉さんとほのぼのとした農園を家族経営しましょう)
ビキニアーマー着といて農園を経営する奴何か見たことねーよ
初心者だから教えといてやるか
(テレジアさん。領地経営はある程度レベル上げてお金やアイテム貯めてからじゃないとキツイですよ)
(むぅ~ マミ!中学生か何か知らないけど、大人には課金と言うチートがあるわ)
くっ 確かに金があればレベル上げもレアアイテムも手に入れやすい。
ってか、俺、高校生だけど……むぅ~。って、あかり以外にも言う奴っているんだな。笑えるわ
(2人ともゲリライベントは時間的に30分以内に見付けて倒さないといけないから、早く行こう)
(そうですね。行きましょう)
その後は、イスラさんのお陰もあって、あっさりと見付けてモンスターを倒す事が出来た。
そう言えばテレジアさんとはフレンドになってなかったな
これからも一緒になる事が多そうだし申請しとくかな
(テレジアさん。フレンド申請して良いですか? )
(べ 別に良いけど、私の事を『お姉ちゃん』って呼びなさい。マミを妹にして上げるわ)
……キャラは女だけどリアルは男って言った方が良いかな……? でも今さら言うのもだしなぁ
(はい! お姉ちゃん! 宜しくお願いします)
画面の中で、お下げ姿のキャラがニコニコと頭を下げる テレジアさんのキャラであるビキニアーマーのお姉さんは顔が赤くなってる様に見えてしまった
(じゃあ、今日はこれくらいにしましょう! イスラ今日も格好良かったし、本当に頼りになるわ。またね)
「え? 何か妹ちゃんが突然ニヤニヤし出したけど、いやらしいゲームでもしてた? 」
「してない! って、赤ピ何してたの? 」
「忘れてるかもしれないけど、俺もギャングのボス役だからね! ちゃんと台本読んでたわ」
「あぁ 忘れてた。出番って言っても、赤ピは少しだけで大半は、ひまりちゃんと陽太だし」
「まぁな。陽太もお姉さまと2人でしっかり練習しといた方が良いぞ、大地の奴はやたらと気合い入れてるから」
大地はボツった脚本に未練があるのか、確かに気合いは凄い入っていた。
役に合ったひまりが演じる為に脚本自らが、この世に出るのを拒んでいたんだ。って、言ってたくらいだからな
まっ 電話する口実にもなるし別に良いけど
家に帰り部屋に着くなりひまりに電話を掛ける
何か今までより緊張してしまう
一定の間隔で通話音だけが繰り返される。今日も出ないかなぁ
「もしもし? 」
出た! 出ないと思ってたから、言葉が脳で作られて口に出るまでに時間が掛かってしまった
『もしもし? 陽太……くん? 』
『お おう 久しぶりな気がする』
『どうしたのよ? 』
『いや 劇の事なんだけど』
『大丈夫、ちゃんとやるし、陽太ったたた…… 陽太君も、しっかり出来てるし、焦らなくて大丈夫だよ』
『ちゃんと出来てるか? 本当に?? 怒られてばっかなんだけど』
『私が言うんだから出来てるの! それよりも陽太君はスマホのゲームにハマってるんでしょ? 』
『何で知ってるの? 少し前からハマってやってるけど』
あれ? ひまりの奴、もしかして嫉妬してない?
『だってスマホばっか弄ってるから、ほら私と電話してる時間あるなら、ゲームしてたら良いよ。劇の方も大丈夫だから、あっ もう切るね バイバイ』
何だよ? 急に慌てたように切りやがって
しかし、これで確定だな! ひまりがご機嫌斜めだった理由が分かったぜ
俺がスマホばっか弄ってて、相手にされないから拗ねちゃったんだよ
可愛いぜひまり!
仕方ない、ひまりの為だ。少しばかりゲームは自主規制するか
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