あかりミラールーム②
ライトを浴びてるせいで寒かった体が今度は熱を帯びてくる 陽太からプレゼントされた魔法の靴で無敵になったあかりには、お面は必要はなかった
むぅ~ ランウェイを歩くだけなのに意外と大変なんだね モデルさんって凄いなぁ
熱さのせいで思わずプク顔になっちゃった
それにしても凄い歓声なんだけど
そんなにあかりの魔法少女って破壊力抜群なのかな
皆があかりに手を振ってくる
よぉ~し あかりちゃんからの大サービスだよぉ
途中途中で魔法少女の決めポーズをすると 一層歓声が沸き上がる
なにこれ? 楽しいんだけど!
昔から注目されたりするのは嫌いじゃなかったけど
本当に魔法少女になった気分だ
ランウェイの端まで行くと陽太と隣にはひまりちゃんの姿が見えた
マジカルふぁに~
陽太に向けて指をクルクルさせると 胸を押さえながら目を丸くし笑ってくれた
ハートを撃ち抜いてやったぜ!
魔法少女のマジカルふぁに~は 掛けた相手を魅了する魔法だからね
隣のひまりちゃんは複雑そうな顔しちゃって
ごめんね。そんな顔にさせて……
さっきの鏡のせいであかりも はっきりと思い出しちゃったよ
撥ねられた時に私が陽太に向けた言葉
そっか ひまりちゃんも聞いてたんだよね
ひまりちゃんを縛り付けちゃってたよね
そういう事だったんだ……
ひまりちゃんとの約束を最初に破ったのはあかりだったんだね
撥ねられた時は陽太しか見えてなかったけど ひまりちゃんも追い付いてたんだ
あかりを見上げるニコニコ顔の陽太だけはまだ全部を思い出してないし 知らないこともあるだろうけど
まぁ 陽太を責めるのも違うよね
でも、ひまりちゃんだけは最初から全部知ってたんだよね
だから あかりと陽太が付き合ってても我慢してたんだ
それが本来のあるべき姿で……だって
だって……
陽太はあかりの事が好きだったんだから
それがこんなに複雑怪奇になってしまうなんて
つくづく双子って大変だよね あかりとひまりちゃんが特殊なのかな?
本当の意味であかりは目覚めたよ
そして6年前に戻って また時を動かしたい
動かさなきゃダメなんだ あかりにとっても陽太にとってもひまりちゃんにとっても
ひまりちゃん目掛けてウインクしてみる
儚げに微笑み返すひまりちゃん
明日のひまりちゃんと陽太の劇が終わったら
『全てに決着をつけよう』
双子にしか通じないアイコンタクト
ひまりちゃんが軽く頷いたのを見てから 魔法少女らしく マジカルふぁにーを会場全体に掛けてからターンを決めた
夏休み最後の前日に言った ひまりちゃんへの『ズルイ』
ズルイのはあかりだよ 聞かれてるとは思わなかったけど 最後の言葉で縛っておいて6年後に目覚めちゃうんだもんね
そりゃ都合良すぎだよ
どんな結末が待ってるのかは分からないけど、ハッピーエンドが良いなぁ この場合のハッピーエンドって何なんだろ?
あかりにとってのハッピーエンドは、ひまりちゃんにとってのバッドエンド?
ひまりちゃんのハッピーエンドは、あかりにとってのバッドエンド?
むぅ~ 陽太にとってのハッピーエンドは?
難しすぎだよぉ
「では、次に3年 鈴影あかりさん。ミスコンに掛ける想いをお願いします」
え? もうあかりの番?
色々考えててから 言おうとしてた言葉忘れちゃったよ
取りあえずマイクの前に立ってみる
むぅ~ マイクの位置高いから!!
慌てたように赤ピがマイクを下げてくれた
はぁ~ 何を言おうかなぁ
「鈴影ツインズの妹 『鈴影あかり』です 職業は魔法少女です」
思いっきり滑ってるじゃん!
言い方がいつもみたいなテンションじゃないからかな?
え~い! もうやけくそだ!!
「いぇ~い マジカルふぁに~ 魔法少女だから前に恋の魔法を掛けたつもりが、呪いの様になってしまいました」
会場全体がキョトン顔だよぉ そりゃそうだよ キョトン顔が正解だよ!
あかりも何言ってるか良く分かんないもん!!
「言った方は素敵な魔法だと思ってたのに 受け取る方は呪いだと思ったのかなぁ だから だから今ここで その呪いを解きます」
ミスコン関係なくなっちゃったよ
でも もう止まらないんだよね いっそ 心を出して
心が直接 語ってくれないかなぁ そしたら正しく想いは伝わると思うんだよね
あかりは不器用だし まだボキャブラリーも少ないから
「ひまりちゃんに…………」
掌を顔の前にかざして 溜めに溜めてからの
「マジカルふぁに~ ひまりちゃん何があっても 大大大好きだよぉぉぉぉ」
おぉ 氷の美少女から流れる一筋の涙
伝わったかな?
どんな結末になろうと あかりは受け入れる
陽太も大好きだけど 同じくらい もしかしたらそれ以上にひまりちゃんが大好きだから
陽太への想いはひまりちゃんに負けてるつもりはないけど
ひまりちゃんに対する想いも陽太に負けてないもん
どうなるのか これはこれで怖いけど楽しみでもあるよ
やっぱりあかりは目覚めて良かったよ!
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