ガールズパンツァ
「俺、橘海斗こと『赤ピ』ひょんな事から、不可思議かつ魅惑的な恋愛同好会に加入した。仲間と言えば……鈴影ツインズの姉であり、氷の美少女こと『鈴影ひまり』双子の妹であり、太陽の微笑みこと『鈴影あかり』そして、そんな2人に言い寄られるラノベ主人公な『美馬陽太』である。鈴影ひまりと美馬陽太は付き合っている事になっているが、おそらく美馬陽太は、鈴影あかりに惚れつつあると俺は踏んでいる」
「妹ちゃん。踏んでないから」
「勝手にあかりの一人言に割り込んで来ないでよぉ」
「なら、勝手に人の名前でモノローグを語るな」
2人のやり取りを表情1つ変えずに、ただただ見つめるというか視線に入れてるだけなひまり
いつもの様にお上品にお紅茶を飲んでらっしゃる
ホント学校では笑うことが少ない
「窓にばっか目をやって、溜め息吐いてる赤ピを あかりが元気付けて上げようと思ったのに」
「それが人の名前でモノローグを語る事なのか? 」
「仕方ないなぁ ひまりちゃん。赤ピが元気になるよう、パンツ見せてあげなよ」
プッーー
向かいに座っていた俺に飲んでいたお紅茶を呪術師ばりにぶっ掛けてくるひまり
「きったなーい ひまりちゃん。お上品の欠片もなくてよ」
「あかりがおかしな事を言うからでしょ! それに行儀が悪いよ机から降りなさい」
あかりは机の上に座っており足をブラブラさせながら、謎に勝ち誇った様に口角を上げると、紙パックのイチゴオレを口に含む
「ご ごめん 陽太君 すぐ拭きますね」
「い いや そこは自分で拭くから」
襟ぐりが大きめな服を着ているので、椅子に座ってると角度的に柔らかそうな胸の谷間が目に入ってくる……
「き 綺麗になりました? 」
その体制のまま上目遣いできいてくんじゃねー
俺の下半身が元気になりそうだから!
「お おう もう大丈夫だから ありがと」
「で、お姉様と妹ちゃん。パンツは見せてくれないの? 陽太ばりに元気になるよ! 」
俺の下半身をニヤニヤしながら見てくる海斗
「仕方ないなぁ このあかりちゃんが見せて上げよう」
そう言うとあかりは両手をパンっと叩いてからピースサインした……
「まさかだけど、妹ちゃん。今のが『パン2』とか言わないよね? 」
「言うよ! パンツじゃん。はい、パンツ見せた」
ケラケラ笑い足をバタバタさせるものだから 本当にパンツが見えているのに気が付いてないらしい
「あかり ブルーストライプ」
「へ? 何が? 」
相変わらずケラケラ笑いながら俺に体を向けてイチゴオレを飲むあかり
口では出せなかったので指差しすると
プーー
今度はイチゴオレが顔にかかった……
「陽太のスケベ! 変態! あかりは陽太の欲に塗れてしまいました。いけない子になってしまいましたぁ。責任取ってもらうので、陽太のお嫁になる」
「さらっと言うの止めなさい。陽太君にも選ぶ権利があるの。ねっ 陽太君? 」
「えぇー 陽太はあかりが良いよね? 」
だからどっちかしか選べない様な質問はやめてくれ!
答えに窮してハンカチで顔を拭いていると
「ってか、俺の事忘れてない? 元気なかった俺に気を使ってくれたんじゃなかったのかよ」
「赤ピを気にする振りをして、陽太を攻略しようとしてた」
「最悪だよ! 子どもの笑顔をした悪魔だよ! で、今日はさ。俺にテーマ決めさせてくれよ! 」
海斗がホワイトボードにスラスラと書き始めた
『サプライズで年上女性をドキッとさせる』
書き終わるとマジックペンでホワイトボードを軽く叩く
「テーマこれね」
「海斗は前も女子大生と付き合ってたし年上キラーだろ? 今さらいらねーじゃん」
困惑ぎみに髪をかくと苦笑いを浮かべ
「いやぁ 年上っつっても、10コ程上でさ。さすがにそれだけ年が離れてると分からなくて」
10コ上って言うと26位か。ずいぶん大人な女性に惚れたな
「海斗君は、その歳上の女性の方とは仲は良いのですか? 」
「それがお姉様。喋る事は喋るんだが、どうも色っぽい話にならず、お堅い話になっちゃうんだよね」
「やい 赤ピ。サプライズだよ! サプライズ」
ようやく机から降りると椅子に座り直したあかりは得意気な顔をしている
「サプライズって、妹ちゃん。具体的には? 」
「多分だけど、赤ピは良くて女性からは弟君にしか見られてないと思うのだ」
「そ……れはあるかも」
「だろだろぉ。なので、サプライズで、ドキッとさせる必要があるのだぁ」
あかりは歩き出すと俺の後ろに回り、そのまま背後から包み込む様に抱き締めてきては、耳にフゥ~っと息を吹き掛けてきた
ゾワゾワッとした感覚が耳から心臓に届き、身震いしてしまった
「見たか。赤ピよ! 本当は息を吹き掛けるのではなく、一言ボソッと囁くらしいが、サプライズ感もあり、一言でキュンっとさせる事も出来る優れものだぁ」
「へぇ 素敵ね。じゃ じゃあ 練習で、陽太君が私にしてみてよ」
「何でひまりちゃんなのぉ? ズルいよ あかりが考えたんだからあかりが先だよぉ」
頬を膨らませるあかり。ってか、一言って何を言えば良いんだよ?
「あかりは先生だから、私たちのを見てから、アドバイスとか欲しいな」
「えへへ 先生かぁ。仕方ない。じゃ 最初はひまりちゃんに後ろから抱き締めて一言」
いやいや まだ何も考えてないのだが
ひまりは椅子を引くと俺に後ろ姿を見せる様に向きを変えたので、すぐ後ろまで歩くと
くっ 髪ツヤが素敵すぎて、1首読みたくなるような気分だぜ
「で では、陽太君。宜しくお願い致します」
「宜しくお願い致します」
「では 始め! 」
あかりの掛け声が合図なのか?
めちゃくちゃ 緊張するんですけど
そっとひまりの細い首に腕を回すと、ふわっと甘くフルーティな匂いが鼻孔を
やっべー ずっと嗅いでいたい!! この綺麗な髪に顔を埋めては、スーハースーハーしていたい!!
っと、何か一言キュンっとする台詞を耳許で囁かないといけないんだっけ?
何も思いつかねーや
「よ 陽太くん……? 」
ひまりが不思議そうに呟く
(ドライヤー乾かすの大変そうだね)
しか出てこねー
髪フェチだからか、ひまりの髪の毛だけで
「こうしてるだけで、すげー落ち着くし幸せ……ひまりの綺麗な髪、やっぱ俺大好きだ……」
はわわわ 思わず言葉に漏れたが、思いっきり変態チックになってしまったあぁぁ
「1本! それまでえぇぇ。勝者、美馬陽太! 両者離れ下さい」
え? あかりの声に訳が分からず離れると
俯きながら耳朶まで赤く染まったひまりが見えた
「ひまりちゃん。終わりだよぉ 次はあかりだから」
「え? えぇ そうね……」
交換するようにあかりが座る
「では、陽太。宜しくお願い致します」
「宜しくお願い致します」
「よーし 始め! 」
今度は海斗の掛け声で始まったが
ひまりの時と違い 緊張しないんだが
やはり後ろから見ても子どもにしか見えない
何か暑くなってきたので袖を捲った。
取りあえず同じように首に腕を回す
さて、どうしたもんか……
言うことねーな。シャンプーの匂いは良いが
黒髪ロング好きな俺だから、あかりの髪にはピンと来ない
「30秒経過……両者、このまま動きなしなら警告与えるよ」
海斗は煽るが意味が分からねー 警告ってなんだよ!
俺から動かないと成立しないしな……
カプッ
うわぁ あかりが首に回していた俺の腕を甘噛みしてきたかと思うと
赤くなった顔を少し横に向けて震える声で
「ご ごめん……陽太が好きすぎて 抱きしめられるだけでは物足りなくて……あかりの気持ちがおさえらんないよぉ……」
時が止まったかの様に固まってしまった……
「1本! それまでえぇぇ! 勝者。妹ちゃん!! 」
「えへへ やった やった やった! 」
ぴゃんぴょん。飛んでは体全体で喜びを出してくるあかり
なになに? 今のなんだよ!? 甘噛みとか不意打ち過ぎて不覚にもキュンと言うかドキッとしてしまった!!
「では、次は俺とお姉さ」
「じゃ 次は海斗君と陽太君」
「え? お姉様……男性同士なんですが」
明らかに俺があかりに負けたのが不満なのか、いつも以上に激しくペン回しをし、ジト目になっているひまり
こういうひまりには逆らわない方が良いだろう
「良いから! 俺と海斗でやるぞ」
「何でだよ! 俺もお姉様か妹ちゃん。とじゃなきゃ不公平だ」
ガシャッ
カップを机に力強く置いては海斗を睨み付けるひまり……
物に当たるなよ。あと目付きがこえー!!
「よ よよ よっしゃ! 何か陽太とじゃなきゃ嫌だなぁ やっぱ陽太とだな うん。そうしよう」
「じゃ 俺が椅子に座るから、海斗が後ろな」
「陽太と赤ピ。ネコ。じゃなかった……攻めと受けはどっちでも良いからねぇ」
あいつBLにも手を出し始めたのか!
「では、始めえぇ! 」
あかりの掛け声のもと 俺と海斗の試合が始まった
後ろから近付く気配がする
俺が攻撃を仕掛けるなら 抱きつかれた瞬間の不意打ちだ!
アイツの腕が私を包み込む いつもと同じ香水の匂いが……逞しい腕が……いつもと違う距離で感じる
悔しい アイツに抱き締められた瞬間に言ってやろうとしてた言葉が出てこない……
って、一人称が女になってるうぅぅ
何かしら言ってやるんだから! 口を開こうとすると
そのまま海斗は優しく私の口を手で塞いできた
「お前に拒否権ねーから 俺と付き合うなら頷いて」
え? バカバカバカ 付き合うに決まってるじゃん
私はその為だけに嫌いな食事制限して、ジムに通ってメイクもファッションも勉強して頑張って来たんだ!!
何回も私は頷いた……もう攻撃する意欲は消え失せた
私の口を塞いでいた手をどけると
「じゃ 俺の好きなとこ100コ言ってみ? 」
ふえぇぇん 100コ何かじゃ足らないよぉ
「どうした? 言えないのか? それともまた唇を塞いで欲しいのか」
海斗は私の顎をクイッと上げると、イケメンな顔を見慣れてない私は思わず目を閉じた……
「それまでえぇぇ!! 良く分かんないけど、勝者は赤ピ!」
「よしっ! 勝ったぜ! 」
あ あれ? 俺は今まで何をしていたんだ……
周りを見渡すと喜ぶ海斗の後ろから近付くひまり
そのまま海斗の腰に腕をまわすと、背伸びして耳元で何か囁いている
海斗は止まったかと思うと、膝から床に崩れ落ちた
無表情のまま、あかりに目をやるひまり
「勝者! ひまりちゃん!! 」
「やったわ! 陽太君の
手を合わせながらウインクしてくるひまり。何が何だか分からんが、海斗に何て言ったのかが気になる!!
「みんな…… 俺、明日 早速やってみるよ 」
宣言すると海斗はよろめきながら部室を出ていった
※※※※
翌朝になり
「花森ちゃ~ん!! 」
担任の花森ちゃんを廊下で見付けると走り出した海斗
「え? 海斗の好きな人って」
「まさかの花森先生かしら? 」
海斗が後ろから花森ちゃんに抱きついた
瞬間……海斗の体はふわっと浮き、1回転して廊下に叩きつけられた
「1本! 背負い投げ! それまでえぇぇ! 勝者 花森ちゃん先生」
あかりが片手をビシッと上げ、試合終了を告げた
俺たちは廊下で横たわる海斗の所まで駆け寄った
海斗は仰向けに倒れながらも、ひまりを見ると満足そうに微笑みながら
「やっぱ、突然後ろから抱き締めるのはねーわ! 痴漢と一緒だよな。って、お姉様。今日は赤の紐パンじゃないのですね」
咄嗟に顔を真っ赤に染めながらひまりは一歩下がってスカートを押さえた
「なになに? ひまりちゃん。そんな攻めたパンツ穿いてたのぉ? おっとな~」
なんで海斗が、ひまりのパンツを知って……
昨日、海斗にひまりが言ったのは穿いてたパンツの事かあぁぁ
1日ひまりのパンツが気になっていた俺でした……
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