第二話〈2〉
1
日本語に直すと黄金週間と
『放課後お時間がありましたら、音楽室まで来ていただけないでしょうか。ご相談があります』
いつから入ってたんだろうな。
「…………」
ただしその横に、それを全て
それを見ただけで、だれからの手紙か一発で分かった。もう分かりすぎるくらいに分かった。というか、こんなある意味才能とさえいえる
「
『
予想通り、便箋の下の方にはそう書かれていた。
クラスメイトにして、
で、そんな有名人が何だってとりたてて
と、そこまで考えて、俺は時計を見た。時刻はまもなく午後五時。放課後と
教室を出て早足で音楽室へと向かう。
まだ五月だというのにここのところやたらと
音楽室の前に
まず春香がいた。これはいい。俺をここに呼んだ
だが……何だって春香の
ピアノを
……なわけないな。春香は妬まれるようなキャラじゃないし、それに
てことは答えは一つだろう。
曲が終わると、女子生徒たちは
「今の曲、とってもキレイでした。何て曲なんですか、春香
「はい。今のはラヴェル作曲の『水の
「わ~、うんうん、ほんと水って感じだった。あたし、思わず
「川のせせらぎとか、
きゃっきゃっ、っとそんな感じの会話が
うーん、何だかほんとに女の子の世界というかバックに大量の
「おーい、
音楽室の
「……あの人、だれ?」
「今、春香
「あれって一組の
冷たいというよりもどこか
「あ、
だがそんな春香の
「春香先輩が男の人を名前で……」
「何か春香ちゃん、
「何なの、あいつ」
「あの、みなさんすみません。
春香が頭を下げると、女子たちは「え~」とか「もっと春香ちゃんの演奏
「……で、話っていうのは?」
女子生徒(
「裕人さん……明後日の日曜日、おヒマですか?」
そう
「日曜日? いや特に用はないけど」
何だってそんなことを訊いてくるのか疑問に思いながらも、休日にやることといったらダメ姉の代わりに
「あ、あの……それでしたら、私に付き合っていただけませんか?」
「……」
一瞬何を言われたのか
えっと。
いきなりのことで頭が全くもって付いて来ないんだが、それってもしかして……
「デート?」
ってやつでしょうか?
「ちちち、
顔を
「そ、そうじゃなくてですね、実はちょっと買い物に行きたいところがあるので、それにごいっしょしていただけたらいいなぁと思ったんです」
真っ赤な顔のままそう付け加える春香。ああ、そういうことね。そりゃここ一ヶ月でちょっと仲良くなったとはいえあの『
「ど、どうでしょうか? あ、も、もちろん気が進まないようならムリにとは言いませんが……」
「いや、おっけ。行く」
光よりも速く
だってせっかくの春香の誘いを
「ほ、本当ですか!」
春香がぱっと顔を
「よ、良かったです。初めて行く場所なので一人じゃ
うーん、何やらやたらと喜んでくれてるな。まあこっちとしては
「で、買い物ってどこに行くんだ?」
根本的なことを
「はい。アキハバラに、です」
まあつまり……そういうことなのである。これこそが
そう。
何というか、乃木坂春香は……プチアキバ系なのである。
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