第一話〈2〉
そして特に何の問題もなく五時間目と六時間目も終わり。
その日の放課後。
俺は図書室に向かって歩いていた。
なぜかというと信長のヤツが、
「
などと言いくさったからだ。……ったくワンワンフェスだか何だか知らんが(犬の
と、そんなわけで普段はほとんど来ることがない図書室なんてところに来てみたわけだが。
さて話には聞いていたが、うちの学園の図書室の利用率の低さは
ま、何にせよ人が少ないなら手続きもさっさと
管理用のパソコンがあるカウンターに向かい、ちゃちゃっとキーボードを
と、出口に向かおうとした時だった。
「…………」
何ていうか、すげえ怪しい人物だった。
だって持っているカバンで顔を
何にせよああいうのには
ちらりと、本棚の陰から
「……」
なぜなら。
そこにあったのは、これ以上ないくらいに
「あれって……」
……
相変わらず不審な動きをしながら
そんな俺の
カタカタと、キーボードを
やがて手続きも
俺と目が合ったのはその時だった。
「……」
「……」
しばし、時が止まった。
「……」
「……」
「え……ど、どうしてここに?」
どうしてって、それは俺が聞きたい。てかそんなUMAでも見るみたいに
「い、いつからいたんですか?」
「えーと、ちょっと前から」
「み、見ましたか?」
「?」
何を?
「その、私が何を
「ああ、いやそこまでは見てないけど……」
「そ、そうですか、ほっ」
なぜか
「?」
「あ、い、いえ大したことじゃないんです。どうか気にしないでください。えっと、確か
失礼します、と
「あ……乃木坂さん、そっちは──」
「え!?」
ガラガラガッシャーン。
ハデな音と共に、乃木坂さんはイスとテーブルを
「い、いた……な、何でこんなところにイスが……」
何でと言われても最初からそこにあるものはどうしようもないような。てか、いつも落ち着いて
何にせよ
「あ、す、すみません」
目を丸くする乃木坂さんを立たせて、俺は
「だ、だめですっ!」
信じられないような
「?」
乃木坂さんの制止の意味がよく分からなかったので、俺は
「だ、だからだめですってば!」
すると乃木坂さん、何やら
だが。
「えっ?」
その進路上には、彼女の
「え、えっ!?」
「えっ、えっ、えっ!?」
勢いよく
「きゃあああっ!!」
そして、乃木坂さんの身体がきれいな円を
ガラガラガラガッシャーン!
さっきとは比べ物にならないほどの
全ての本棚が倒れきるまでに、さして時間はかからなかった。
「……」
えーと。
何が起こったんだか、
目の前にあるのは、全ての本がぶちまけられ果てしなく
……俺、ここで何してたんだっけ?
乃木坂さんの方はとりあえず
「……」
──そして何となく、乃木坂さんの
「……」「……」
そこには、
その下には、
「えっと……」
だがしかしそれ以上のことを考えるヒマは
直後に、俺の耳に信じられない音が飛び込んできた。
「う……うっ……ぐす…み、見られた。見られちゃいました」
それが乃木坂さんの
「も、もうオシマイです……ぐす……」
そう声を
いやむしろこの
「何あれ?
「さあ? でも男の方も大した顔してないのによくやるわ。ぼそぼそ……」
「
「あれって一組の
なーんて
「捨てないでって
「うわ、何それ。サイアク」
「女の
「ダメ男」
ひどい言われっぷりである。
まあ
何にせよ一つだけ確かなことは。
これ以上この場に
そういうわけで。
「あ、逃げた」
「
「愛の
「前者でしょ。火を見るよりも明らかに」
なんていうありがたい声が聞こえてきやがった。うう。何だって
などと俺まで泣きたい気分になってきたが、女の
しかし……何だってこんなことになったんだか。
どこか人目につかない場所を
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