第四話
第四話〈1〉
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七月。
中間試験も終わり、学園全体が来るべき夏休みに向けて段々と
どこどこへの旅行の計画だとか、終業式までにはだれだれに
「やっぱり夏は海だろ。飛び散る水
「そうですね。
「ああ、そうだな。近所の公園で一晩中飲んで
こいつら、三人とも夏がキライなんだろうか。おまけに全然会話が
「夏といえばさー、何といっても
信長は信長でまたワケノワカランことを言ってるし……。有明って、九州まで行くつもりか、こいつは。
「おい
「いいえ、海なんて有害な
「公園で
「やっぱ同人誌だよねー?」
四人がずい、と顔を寄せてくる。うっ、暑苦しい。
いや俺は海でも山でもどこでも別に
「あー、とりあえず俺の意見は
何と答えてもどこからか
「またか。お前は本当にいいかげんだな」
「その全てにおいて
「けっ、この
「
言いたい
──夏休みと言えば、
ふと気になった。
三バカプラス一アホたちの意味不明な計画はほんとに心の
やっぱりお
ちらりと教室の反対側を見ると、その春香が食後のお茶を楽しみながらのんびりと読書をしていた。相変わらずその
春香がふとこっちを見た。目が合う。すると少し
だけど、
「え、夏の予定ですか?」
「おう。春香はどっかに行ったりするのか?」
放課後。
「えと……そうですね、
「ふんふん」
「う~ん、あとは何かあったかな……。あ、一つ行きたいところがありました」
「どこだ?」
「〝なつこみ〟です」
「……」
……何それ?
「『イノセント・スマイル』に書いてあったんですけど、何でも『ドジっ
夢見る少女の
「それって、どこでやってるんだ?」
「
「ゆりかもめか……」
それならそう遠くもないな。
「もしよかったら、いっしょに行くか?」
そう
「い、いいんですか?」
「ああ」
「あ、ありがとうございますっ」
ひとしきり喜んだ後、
「あ、それじゃ私そろそろ行きますね。今日、
と言って、にこにこ顔で春香は去っていった。
かくして少々(かなりか?)色気には欠けるものの、春香と二人きりでどこかへ行くという、
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