第三話〈4〉
2
女の子が描いてくれた地図のおかげで、何とか
出来たんだが……
「何だ、こりゃ……」
それが俺の口から出た最初の
目の前にあるのは巨大な門。
ここが本当に日本なのか、少しばかり疑いたくなるような
だがまだこれで終わりではなかった。
全然終わりではなかった。
さらに我が目を疑いたくなることに、
メイドさんは俺を見ると、
「
「は、はあ」
生まれて初めての『様』付けに感動するヒマもなく、アホみたいに広い庭をメイドさんの案内で進んで行く。うわ、何か森みたいなのがあるし。おまけにその
「こちらになります」
広い広い庭を
「すげえ……」
というかすごすぎる。
「私の
どこの
それからメイドさんの
「あ、裕人さん、いらっしゃいませ」
「
「いえ、仕事ですので」
そっけなくメイドさんが答える。
「立ち話もなんですから、どうぞくつろいでください」
「よろしければお茶をお
「あ、お願い出来ますか?」
メイドさんの申し出に、春香が答える。
「はい、もちろん。葉はいかがなさいますか?」
「えっと、確かニルギリのファーストフラッシュがありましたよね。それでロイヤルベンガルタイガーを二つお願いします」
「ティーフードはどうしましょう? マドレーヌとプラムプディング、ビクトリアケーキでしたらすぐにご用意
「う~ん、それじゃプラムプディングで」
「分かりました。では十分ほどお待ちください」
そんなやりとりを交わしてメイドさんが出て行った。いやどうでもいいが出てきた単語の半分くらいが分からんかったんだが……。ロイヤルベンガルタイガーって、モンスターの名前か何かですか?
「少し待っていてくださいね。
……紅茶の名前だった。
紅茶なんてそれこそ缶とかペットボトルに入ってるやつしか飲んだことない俺に、そんなのが分かるはずもない。ていうか、
十分きっかりで、メイドさんは
「ロイヤルベンガルタイガーと、プラムプディングになります」
俺たちの前にカップとお
そんなメイドさんに、春香が顔を向ける。
「え~と、ちゃんと
メイド『長』ってことは他にもいるんだろうか、メイドさん。
「桜坂葉月と申します。
そつのない
と、心の中で
「葉月さんは、ぶっきらぼうに見えるけどとっても優しい人なんですよ」
俺の考えてることが分かったのか、春香がこっそりと耳打ちしてきた。
「この間も、夕食の残り物を近所のノラネコに分けてあげていましたし、お休みの日には必ずペットショップを
ヌイグルミねえ……。うーむ、この
「……
「あ~、葉月さん、
「……………………そんなことは」
めちゃくちゃあるみたいだった。
それからしばらく、メイドさんを
確かに話してみると、葉月さんは見た目ほどとっつきにくい人じゃないことが分かった。
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