第三話〈3〉
1
というわけで、なぜだか春香の家でいっしょに試験勉強をすることになったのだが。
日曜日。
俺はいきなり
「えと、これがうちまでの地図です。駅からは歩いて十分くらいなので、
と、春香から地図を受け取った時点で気付くべきだったのだが、あいにく春香の自宅にご
春香からもらった地図を開く。
そこには、八目ウナギが十五匹ほど集団ヒステリーを起こして
しかも
「……」
本気で
地図の
しかし……どうしたもんか。
「ダメだこりゃ……」
「どうかしたんですか、おに~さん」
「さっきからうーうー
「いや
「あ、こういう場合は救急車か」
女の子が
「で、ほんとどうする?
ちょっと
「いや別にそういうわけじゃないんだ。ただ道に
と、そこでふと思った。どうも感じからしてこの子は地元の子みたいだ。だとしたらこの地図が分かるんじゃないか。春香の地図も、もしかしたら俺が読み取れないだけで、見る人が見たらちゃんと地図としての役割を
「何これ?
「……」
「
希望は
「……それ、地図らしいんだ。いちおう」
「……地図って、これが? ウソ!?」
「いやほんと」
俺としてもあんまり信じたくないんだが、ホントなのである。
「うわ~、どう見てもこれ、
女の子が
「ひょっとしてこれが道のつもりなのかなあ。このヤマタノオロチみたいなの。うわ、こっちにはぬらりひょんみたいなのがいる。あっ、ここには
などと
「……って、ん?」
その
「……げ、これってまさか」
そして
「お、おい……」
いや破りたくなる気持ちは
「えっと、おに~さん。たぶん、あれ見ても永久に目的地に
「それはそうなんだが……」
しかしあんなもんでもないよりはマシかもしれない。……タダより高いものはないって
「あれならない方がマシ。うん、
女の子は
「住所はいちおうこれらしいんだが……」
細切れになった地図の、住所が書かれている部分(
「はい。さらさらさら、と」
「
「おお」
そこには、
「うまいもんだな……」
これならきっとサルでも
「そんなことないよ~。すっごく
とは言うものの、女の子はまんざらでもないようだった。
「でもとにかく助かった。ほんとにさんきゅー」
「いいっていいって。こんなの
「?」
「ん、え、えっと何でもないの。それじゃわたしはもう行くから。またね、おに~さん!」
「あ、ちょっと!」
……一体何だったんだろうな。まあおかげで助かったけど。
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