第四話〈6〉
3
そして俺は
相変わらず
合計二十分ほどかけて、ようやく春香の
「
「お姉ちゃん、おに~さんがお
ガタリバタバタ、と中から何やら
ちなみに俺が今右手に持っているケーキ(一日
「……出ていらっしゃいませんね」
さっきの物音以来、
「う~ん、おに~さんとケーキのダブルコンボでだいぶ動揺してるみたいだから、もうちょっとって感じなんだけどな~。とりあえず、ここでお茶しよっか? 葉月さん、用意してくれる?」
「はい」
どこから持ってきたのか、葉月さんは
……………………………って、ちょっと待て。こんな
「それは
「企業秘密です」
「いや……」
「企業秘密です」
「だから……」
「企業秘密です」
「……分かりましたよ」
もうそういうことにしておこう。
メイドさんが、ポットに手をかけて俺たちを見回す。
「ヌワラエリアでよろしいでしょうか?」
「何でもいいよ。わたしはお姉ちゃんみたく紅茶マニアじゃないから」
「……右に同じく」
というか言われるまでそれが茶葉の名前だってことすら分からんかったし。
そんな感じで、いつの
「わ~、おいしそ~♪」
「ザッハ・トルテですね。切り分けましょうか?」
「うん、お願い~」
と、その時、
「ん?」
「!」
(よしよし、
小声で
(よろしければ、フルーツコンポートもお持ちしましょうか?)
(あ、いいかも。お姉ちゃん、
(では……)
葉月さんが
(お待たせしました)
(これはフルーツコンポート。季節の果物をシロップで
葉月さんがそう
カチャ。
と、
(ん~、あと
(それでは今度はジンジャービスケットを持ってきますか?)
(うん、お願い)
とまあ、そんな
「もう~……
とうとうシビレを切らしたのか
「よ~し、こうなったら……」
すう、と
「ほら~、出て来ないんだったら、ケーキもおに~さんもわたしが
「う、うわっ! おい」
大声でそう
「おに~さん、ごろごろ~」
「こ、こら」
ほ、ほっぺたを
「もうお姉ちゃんなんか
「だ、だから待てって」
「うにゃ~」
じゃれついてくる美夏を何とか
「だ、だめですっ!」
続いて
「ゆ、
「……」
「……」
「……わお」
そこに
「わ、私、何言って……す、すみませんっ!」
ばたん、と
「う~ん、
「いえ、作戦としては良かったと思うのですが……」
「そうだよね~。う~ん、おに~さんの色男♪」
「……スケコマシ」
二人(特に
ともあれこれで
「……こうなったらもう、強行
メイドさんが一歩前に出る。
「それはそうですけど、でも強行突破ったってどうやって?」
チェーンと
「これを使用します」
と、メイドさんの手に(これまたいつの間にか)
「
チェーンソーが、チュインチュインチュイン! と
「それでは──」
「待ってください。ここは俺が行きます」
ドアの前でチェーンソーを
とりあえずあの件はちゃんとカタが付いたことだけでも教えておかなければなるまい。
「しかし……」
「
少なくともそんなチェーンソーを使うよりはマシなはずだ。
「……分かりました。お任せします」
「がんばってね、おに~さん」
美夏と
「春香、ここ開けてくれ。この前のことで話がある」
「……」
「あー、きっと春香にとっても悪い話じゃないはずだ。それにほら、春香の好きなケーキもあるぞ」
「……」
まだ無言。
「というか、開けてくれないと葉月さんがチェーンソーを
「……そこまでするとは言っておりません」
「で、そういうわけなんだが、開けてくれないか?」
改めて
「……分かりました。入ってください」
か細い声で、そんな返事が
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