第四話〈8〉
4
さてそれから一週間が過ぎた。
「あ、
朝の通学路。いつもの道を少し行ったところでたまたま春香と会った。
「お、春香。おはよう」
「おはようございます。いい朝ですね」
「ああ。まだちょっと
「あ、ほんと。眠そうな顔してます。
ころころと笑う
「明後日で授業も終わりですね。そうしたらいよいよ夏休みです」
明るく
あの日以来、春香はいつもの春香(にこにこぽわぽわの
「夏休み、とっても楽しみです。あ、そういえばこの間の
「もちろん」
「えと、日程はおそらく八月の
ともあれ、コトは全て良い方向に向かっているように思えた。
今回の事件(春香の
もっともこの
「おはよう、春香ちゃん」
と、歩いていた俺たちの前に
「春香ちゃん、いつまでもそんなオタクヤロウといっしょにいるのやめなよ。そんなの春香ちゃんの
「そいつは
相変わらずのにやにや笑いを
そう。
懸案事項とはまさにこれのことだったりする。
俺についてのウワサ(とそれを
これがいまだに──それこそ
思わず
「もう終わってるっていうの? 学園にまでいかがわしいカタログとかも持ってくるしさ。
もう言いたい
「どこを
「……やめてください」
佐々岡の言葉は最後まで続かなかった。
「
「は、春香ちゃん?」
いつにない春香の
「お話がそれだけでしたらこれで失礼します。……行きましょう、裕人さん」
「あ、ああ」
春香に手を引かれその場から立ち去ろうとして。
「ちょ、ちょっと待てよ! それ一体どういう意味!? こいつみたいなオタクヤロウの何がいいってんだ? 僕にも分かるように説明しろよ! おい、春香ちゃん!」
佐々岡が
「おい、アンタいいかげんに──」
俺はたまたま近くに落ちていた落葉
佐々岡の身体が、
「……え?」
それは重力と物理法則に
「……」
そして
道行く人々が、信じられないものを見るような目で、地面に
えっと。
いまいち信じられないんだが。
もしかしてこれ……春香がやったのか?
完全に
「
「は、春香ちゃ……」
「それに……あなたの言うそのいかがわしいカタログ、本当は私が持ってきたものなんです。だから言いたいことがあるのなら、私に言ってくださいね」
「……」
その
「それでは
……そういえば今さらながらに思い出したが、春香ってどこかの
「あの……裕人さん?」
「……いや、何でもない」
まあ、いいか。気にならないわけではないが(ていうかすげえ気になるが)、春香の
だけど地面を
この先、何があろうと春香を本気で
そしてこの一件を
またそれと同時に、それまでさっぱり
何にせよこれでようやく、残った
約二週間ぶりに戻ってきた日常。
とはいえファンクラブ員からは相変わらず親の
「
──とは思うのだが。
「よろしかったらいっしょにお昼ご飯を食べませんか?」
──正直、それも
楽しそうな顔でこっちに向かって手をぱたぱたと
ちなみに現在のシチュエーションは昼休みの教室である。最近、春香は以前に比べて学園でも積極的に俺に声をかけてくるようになった。それが俺に心を
まあつまり。
昼休みの教室には当然ながら
「
「いっしょに昼メシねえ……けっ、
さらにうちのクラス内にはファンクラブ員(しかもわりと
「とりあえず、
「いや、
「プールで
……はたして俺は
かなり不安だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます