第二話〈4〉
とまあ、それ(
とはいってもメインイベントに
しかし……相変わらずすごい街だな、ここは。
歩いていると目に入ってくるのはアニメやゲームなポスターやらカンバンやら、中には等身大のポップなんてものまでありやがる。まるっきり異世界、アナザーワールドって感じだ。じっと見てると何か頭がくらくらしてくる。
「えと……そこの道を左に曲がって、少し進んだところを右に曲がって直進して──」
その異世界を、
……何であの地図で分かるんだろうな。俺には何をどう見てもウナギが腹痛を起こしてうねうねとよじれている図くらいにしか見えん。あんな地図を
「次にこの道を右ですね。そうしたら白い建物が見えてくるはずです」
ともあれ春香のおかげで、ここまで俺たちはほとんど
大通りを
などと完全に
「あっ、あれは」
ゆっくりと歩いて春香の
春香は、店のディスプレイの前にぴったりと張り付いていた。
「かわいいです……」
どうも春香はお気に入りのモノが目に入ると
おかげでその
「かわいいものって、見ているだけで幸せな気分になりませんか?」
と、学園では
──それから十五分ほどが
「なあ……そんなに気に入ったんなら、買えばいいんじゃないのか?」
さすがにこれ以上ここにいるのも少し営業
「そうしたいのは山々なんですけど……予算がないんです」
「予算?」
天下の
と
「そんな……とんでもないです」
春香は大きく首を
「私のお小遣いなんて本当に少しばかりで……毎月どう
「ちなみに、いくらくらい
参考までに
「ええとですね──」
春香の口から出たのは、俺の月の小遣いとほとんど変わらない
「
「うちはお父様が
ブタさん……貯金箱のことか?
「だからムダ使いは
えへ、と
そしてさらにディスプレイの前で十分ほどの時間を過ごし。
「ありがとうございました。おかげさまで幸せなひと時を過ごせました」
とのことらしいので
「あっ」
また何か見付けたのか、大通りに出るなり春香が四度目の
向かった先はとあるグッズ系の専門店。だが店内には入らずにその店先に置いてある直方体の物体に
「これって、アレですよね? 確かお金を入れると中からお人形とかが出てくる……。あっ、あれって……もしかして、『ドジっ
……何かどっかで聞いたような固有名詞だな。春香が指差した先には、やはりどこか
「あれ……とってもかわいいです」
再び少年の目になる春香。うーん、何となく春香の好みの
「だったらやってみたらどうだ?」
さっきのやつとは
「え? やるって、これをですか?」
「ああ」
「え、でも……」
すると春香は小さな声で言った。
「あの……実は私、初めてなんです」
「初めて?」
って、ガチャポンが?
「は、はい」
「見るのも
「……」
いやまあ
「ど、どうでしょうか?」
「うーん、まあ平気だろ。特に
ガチャポンなんて、
「そうなんですか。それならやってみます」
ようやく春香もその気になったようだった。おもむろに
「あ、あれ? あれ? おかしいな……どうなってるんでしょう?」
と思ったのだが、いきなり春香が何やら
「どうした?」
「
「ん、そんなことないと思うが……どれどれ」
「……」
そこには硬貨
「??」
「……春香、ガチャポンは
「えっ、そうなんですか?」
「……そうなんです」
いやマジ顔で
「分かりました、
「……硬貨がないです」
「……とりあえず、俺が立て替えておくから」
このままじゃいつになったらスタート
「……お手数をおかけします」
千円札を両替機に
「ほい、これ」
「は、はい」
そして春香のガチャポン初体験が始まったわけなんだが……ちょっとばかり
それは
それでもやるのが小学生ならまだいい。いくら続けたくてもなけなしの
願わくばその答えが
現実ってやつは……そんなに甘くなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます