第一話〈4〉
2
それからしばらくは、特に何事もなく
乃木坂さんはいつもと変わらずお嬢様だったし、俺も俺で相変わらず
だけどそんな変わりばえのしない日々の中、一つだけ俺にとって変化があった。
それは。
何だかあの日以来、
「それはねー、恋だと思うよー」
「うおっ」
横からいきなり信長のアホ顔がにゅっと飛び出してきた。
「やっほー、
「お前……いつ来た?」
全然
「ふふー、無音
……こいつとは十年以上の付き合いになるが、いまだにその全容を
それはともかく。
「恋ってどういう意味だよ、信長」
「どうもこうもそのまんまー。あ、
それくらい分かるわ。そうじゃなくてだな──
「でもねー、『
相変わらず人の話なんて聞かずに、信長は
「何ていうか裕人には少し
「む」
「裕人は知らないと思うけどねー、入学以来約一年間で『
いや……乃木坂さんが人気あるのは知ってたが、女子十六人って何だよ、女子って。それに何だってこいつはそんなに
「これくらいの情報収集は現代に生きる者として当然だよー。ちなみに『
何やらポケットから手帳のようなモノを取り出しそんなことをつらつらと語る
「あ、その
そんなことまで
「それにねー、今のご
虫も殺さないような
……
「で、まあそんな感じだからさー、残念だけど
「……
「いや裕人が悪いって言ってるんじゃないんだよー。ただ相手が悪すぎるっていうか、何しろ『
ちょっとだけ
「でもでもー、裕人がどうしてもやるっていうなら僕は
男で幼馴染って、何かイヤな
「……って、だからそもそも俺は
「そうなのー?」
そうなのも何も、最初からだれもそんなこと言ってない。
「まあ裕人がそう言うなら別にいいけどさー、でもこういう
にやり、と
「〝気になり始めが恋の始まり〟って。ばーい
めちゃくちゃ
信長のヤツにヘンなことを言われたせいで、それ以来
そしてそんなこんなでさらに何日かが過ぎ。
事件が起こったのは、あの日からちょうど二週間後の朝のことだった。
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