概要
不老の細胞、莫大な遺産、停滞した社会と僕と、無口な妹。
オノデラ・クロムは生まれながらにして世界有数の大富豪だった。
父親が研究した不老の細胞に基づく利権構造が世界中の富豪たちの寿命を握り、その巨大なシステムはクロムに義務と責任を負わせた。遺言状の意思に沿った、停滞した終わりのない毎日が続いていた。
【プロローグ~1章】
ウィザード級ハッカーである妹が、遺言状のルールに基づいた<食事>の最中、数年ぶりに口を開く。メッセージは、クロムへプレゼントを贈ったというものだった。その「事件性」について秘書のツチヤと驚き合うのもつかの間、公安局からやってきたナイトウが、クロムの身柄の保護を申し出る。ドローンの襲撃を逃れ、公安の秘密基地へ避難したクロムは、通称アルファと呼ばれる不老の細胞を入れた富豪の一人が、特殊なウイルスによって殺害された事を聞かされ
父親が研究した不老の細胞に基づく利権構造が世界中の富豪たちの寿命を握り、その巨大なシステムはクロムに義務と責任を負わせた。遺言状の意思に沿った、停滞した終わりのない毎日が続いていた。
【プロローグ~1章】
ウィザード級ハッカーである妹が、遺言状のルールに基づいた<食事>の最中、数年ぶりに口を開く。メッセージは、クロムへプレゼントを贈ったというものだった。その「事件性」について秘書のツチヤと驚き合うのもつかの間、公安局からやってきたナイトウが、クロムの身柄の保護を申し出る。ドローンの襲撃を逃れ、公安の秘密基地へ避難したクロムは、通称アルファと呼ばれる不老の細胞を入れた富豪の一人が、特殊なウイルスによって殺害された事を聞かされ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!読まなければならない。森博嗣好きには堪らない。
大富豪のオノデラ・クロムは、突如命を狙われる。
不老細胞をめぐる世界のバランスに、異変が生じたのだ。
森博嗣っぽいタイトルと英語副題に惹かれて
目次を見たら、何このオシャレな統一感。
(……表現する語彙力がない……)
そんなにたくさん読んではないですが、
好きなんですよ森博嗣作品。
クロムは大富豪ですが、父の遺産によるものであり、
自分が成し遂げて得たものではない、と醒めた目で
自身の立場を見ている。
だからと言って厭世的なわけでもなく、まぁ仕事は
若干サボり気味で秘書のツチヤ君を振り回しますが、
(ツチヤ君のほうが強い気もしますが)
根っこのところは確固としています。
決断力と、豊富な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!”他人事”感と“意地”の調和 諧謔たっぷりの機能美的面白さ
カクヨムにて色んな方の作品を拝読するようになって、
「うひゃ、この作品めっちゃいい!」と感動する作品に出会える幸運をかみしめることがあるのですが、個人的に本作品はその筆頭です。
(本作、本レビュー投稿時点で★6なのですが……いや、これほどのクオリティなのですからもっと★がつくべきなのでは?! ★100でも500でも1000でも!)
この作品のプロローグ数行を読んだ瞬間に「あ、森博嗣っぽい。これはおもしろそう」とぴんと来ました。
まずは森博嗣作品独特の語り口、文体、キャラクタ造形がお好きな方なら間違いなく楽しめるのでは、と思います。
……前置きが長くなりましたが、個人的にはその文体と主人…続きを読む