キリさんの左手

「炭酸水と犬」の後でゆっくり読みました。
前作と異なり軽いタッチで読み進められました。
しかし内容はなかなかにヘビーで深刻なものだと読後に感じ入りました。
ネタバレになるのであまり書けないのがもどかしいですが、ひとつだけ。
ビンタのシーンが一番印象に残りました。
爽快な気分になりました。
潔い！

恋や愛って色んな形があると思う。

ストレート、ゲイ、バイ、トランスジェンダー、異性愛、同性愛、不倫やら純愛とかなんとか。

色々な恋や愛に対するカテゴライズの後は、必ずそれが正しいか正しくないか、正義か悪か、普通か普通じゃないかとそういった枠・形を作りたがる。

ここ最近思うのが“誰かを愛し想う”って事柄に形なんてあるのだろうかということ。

私の友人にバイ（両性愛者）がいて、性同一性障害（心は男、体は女）の恋人が彼女にはいる。

そんな友人に彼女自身がバイであること、その恋人について聞いた際の会話が今でも印象的だった。

友人「驚いたでしょう」
私　「まあそうだね、知らなかったからね」
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ゼミの教授との不倫、女装男子との恋。
恋に疲れた女性がひと時の癒しを得て、再び立ち上がるまでのお話。

綿密でときに時に重苦しいほどの心理描写は、
清々しい読後感によってきりりと引き立ちます。

夜中に濃い目のコーヒーを飲みながら読んでいただくと、
物語の世界にぐっと入り込めるかと・・・

若くて不器用だった恋を思い出して、くすぐったくて懐かしい気持ちになりました。

間違ったり迷ったり、それが人間ですもんね。
いつか懐かしく思い出す日が来るのです。