第22尾.覚醒する「血の吸血鬼」

 さて、次の戦いの選手である。天羅と操は壇上に立っていた。

「……大丈夫か、どうか少し不安になってきた。」

「天羅ちゃん大丈夫だと思うよ。多分。」

「操、それならそれでいいけど。」


 そんな堕天使側は「怠惰の罪」『ヴェルゴ・フェスゴール』と「傲慢の罪」『ルーシィ・ファイゼル』である。


 そして、ベルが

「次、第二戦、『貝塚天羅』&『ブラッド=エレーナ=操=ハーヴェスト』対『ヴェルゴ・フェスゴール』&『ルーシィ・ファイゼル』。始め。」


「さて、いきますか。」

 と、いきなり天羅は、ルーシィに鉄球を投げた。

「操そっちのやつ頼んだ。」

 そして、操は大きなアタッシュケースを開き、

「うん、分かった。来て、私の人形『ヴァンプス』。さて、いくよそこの堕天使さん。」

 操のactは、人形操作(ドール・パーティー)である。

 この力は、見えない糸の『念糸ねんし』を使い、物理的に操ると、言う力である。


「さて、楽しませてくれるか、少女よ。そうでなければ面白味がない。」

「あー、だりぃ、さっさと終わらせて飯食いたい。」

「ヴェルゴ、これが終わったら十分休めるだろう。」

「うるせー、ルーシィ。今はかったりーから、さっさと終わらせる。」

 そう言った、ヴェルゴの周囲の物体が止まり、空中で、止まっている小石にトントンと指でつついた。そして解除したとき、その小石がすごい勢いで、天羅の方へ飛んでいった。

「くっ、『ジャイロ回転』! 」 

 天羅は、その小石をジャイロ回転した鉄球で、相殺した。

「ちっ、こいつの相手をしなければいけないのかよ。」


「天羅ちゃん! 」

 操が天羅の応援に行こうとしたとき。

「おっと、お嬢ちゃん。あなたの相手はこっちだ。」

 とルーシィが遮った。

 二人は熾烈な戦いをした。そして先に変化が起きたのは操の方である。


「くっ、『ヴァンプス』! いくよ、エニィプッペンリストウェダンブルメン! (人形達が織り成す、華々。)『人形の裁き(ウォルタイ・エニィプッペン)』! 」

「悪いがそれを食らう訳にはいかないからな、『完全催眠(キョウカ・ザ・フラワー)』。

 悪いけど、眠っていてね。」

 操は深い眠りに入って、倒れた。

「さて、ヴェルゴの援護に……」

「待て、堕天使。」

 と、操の声がした。そして、操の眼帯が外れた。いや、操が外した。

「操が、眠ったことで都合がいいわね。」

「……誰、あなた。」

「私、わたしは、『マリーブラッド=ラグナス=ハーヴェスト』。この体の娘の先祖ね。ちなみに私のactは『血の吸血鬼(スカー・ブラッド)』。血を操る力なの。そして、この人形で、あなたの血を少し抜かせてもらった。」

「な、何! 」

「ウソよ。予め輸血パックがあるからね。

 我が手に堕ちて眠れ、『鎮魂歌(レクイエム)』。」

 ラグナスの操る血が、ルーシィを円柱状に囲い、血の刃が襲い、そして、ルーシィを倒した。

「さて、天羅の方が気になるな……。」


 一方、天羅は、

「何なんだアイツのactは、一定距離はあるが、物体が空中で止まっている。朔美のactとは違い、私自身動ける。そしてアイツは、普通の力で、物体をつついてはすごい勢いでこっちに向かっている。……」

 と、思考回路フル回転させて考えていた。

「さっさと俺のactでやられて、負けて、そして死ね! 」

「(私の鉄球は現在『3つ』あとはあれでいけるか、どうか。)……『完全なる黄金長方形の回転』!! 」

 天羅の繰り出した、ある思いを込めた止まらない回転を纏った鉄球は、

「俺のact『空間位置固定(ワーク・ザ・クラフト)』で止まっ……、何だこれは止まる気配がない! 」

 ヴェルゴは鉄球の攻撃を食らう。

「……この回転は、あんたが本心から負けを認めれば解除される。又は、私が逆の回転をぶつければ解除される。でも、私は。負けを認めな。」

「うるせぇ! 」

 と、ヴェルゴが天羅の方へと向かうがと言う現象が起きた。

「何だ、これは、何度も行こうとしても、元の位置に戻ってしまう。」

「認める気になった? 」

「……俺の負けだ。」


 ヴェルゴは、倒れたルーシィを担いで自陣へと戻った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る