第31尾.鬼迫

「おい、龍成と妖狐。お前らはあっちで、

裏メニューでもしていろ。」


稲瀬がそう言うと、龍成が


「えっ? いいんですか、先生。俺と妖狐が

それを」やっても。


「いいからやれ!」


「……、わかりました。」


そう言って、稲瀬が二人を追い払うと残った四人に話をする。


「さて、お前らは私と講議だ。」


「えっ? 何ですか。」


「お前らはあの二人と違い、全国に敵わない。だから、少し勉強をしよう。

ちと質問だ。お前ら『強さ』とは何だ?」


「アリスかな?」


「妖狐だろ?」


「妖狐さんです。」


「えっ? 妖狐じゃないの?」


四人は口を揃えて「妖狐」言うと、稲瀬は溜め息を出し、少しがっかりした。

そして、次にこう言った。


「じゃあ、言い方を変える。

お前らのactは何が『強み』だ?」


「私のactは、『完全なる黄金長ファイ・方形スピンの回転』かな?

て言うか、先生これ聞いてどうする気ですか?

まさか、メニュー量を増やすとか……。」


「そんなわけない。

お前ら、『強さ=妖狐』になっているが、その考えは全く持って違う。

『強さ=自分の個性』だ。」


「そう言われてもピンと来ないですよ。」


「うーむ……。」


と、悩む稲瀬にある人物がやって来る。


「うぃーす、やっているかい?」


「美銅さん。」


と、美銅が来きた時、稲瀬は思い付いた。


「あっ、そうだ。美銅さん、ちょっと。」


「ん、どうした。」


稲瀬は美銅を呼びこそこそと今までの経緯を

伝える。

そして……。


「成る程な、ここは鬼である私の出番だね。」


「相手は……。そうだな、操がやれ。」


「えっ? 私ですか、……。っ!」


いきなり操の人格が変わる。

操の眠る「第二人格」、『マリーブラッド=

ラグナス=ハーヴェスト』が現れる。


「はぁー……。この子じゃあ可哀想だから、私が相手してあげるわ。さっさと構えなさい、鬼。」


「へぇー、これが噂の『第二人格』かぁ。」


「私、時間無いから……。」


「御託はいいから、さっさとやるぞ吸血鬼。」


いきなり、ラグナスを黙らせる殺気を放つ、

美銅。


これが、美銅が扱うactその名も「鬼迫クラッシュ・オブ・ホラー」である。


このactは、美銅の『パワー』と『殺気』を操る能力である。


「さぁ、楽しい楽しい喧嘩うたげの始まり

だ……。」


一方、妖狐と龍成は……。


「やっぱり、あんたとやるにはじゃないとね!」


「そうだな、っ! 妖狐。」


「えぇ、分かっている。この殺気……。」


「……間違いねぇ。この殺気は、美銅先生のactだな。」


「これは終わらせて、向こう行こう。」


「そうだな……。(でも、もう一人の方は

一体?)」


二人は殺気がした方角へと向かう。


「ガッ、ハ……。」


「『鬼車』……。おい、吸血鬼。お前の力はそんなものか?」


「悪いが私は『血』がないと本領発揮出来ないのでね。吸血鬼とはいえ、情けないものね。」


「そうか、ならば……。」


美銅が止めを刺そうとした時。


「よかった、間に合って!」


「き、狐? 何故、止めに入る!」


「おい、美銅先生! 何も殺すことはない

だろうが! 操は大切な仲間だから、スゲー

困る。」


「おい、小僧。誰に向かって話かけている? オレはかの大悪鬼『酒呑童子』の子だぞ、この喧嘩うたげの対価を払ってもらうぞ。」


「この、刀でやるか?」


龍成が刀を見せると、美銅は


「ヒィッ! 刀、嫌! 刀、怖い!」


急にビビり始め、稲瀬の方へ行き殺気が薄れた。


「? 殺気が薄れたぞ。妖狐どういう事だ。」


と、鵺が質問すると妖狐が


「あー……。この人(?)、刀が大の苦手で実物を見るとすくみ上がるんだよ。」


と、答えた。


「そんなことより、操ちゃんの治療を……。」


「美銅さん。」


「何だ、イナホ。」


「あの四人に伝わりましたかね?」


「さぁな、でも一番分かっているのは本人自身じゃないかな?」


「そうですね。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る