第13尾妖狐と時を止める少女
さて、尺澤との戦いから数日後の事である。アリスは、いつもの様に廊下を歩いていたら、誰かとぶつかった。
「…痛いなー。って、朔美ちゃんじゃない、どうしたの。ボーッとしてさ。」
「ご、ごめんなさい。アリス、はい。落とした荷物よ。」
そう言った去って行った彼女は、『
「ありがとう。って行っちゃった。ん?
私の荷物に何か混ざっている。封筒だ、…誰もいないよね? えーっと何々、『土曜日の午前にて、グラウンドで、待つ。』宛名も住所もない、朔美ちゃんかな? まぁ、いいや当日になって確かめればいいかな。」
「…さぁ、有栖川妖狐。この、私と戦いなさい。」
そして、土曜日の午前、学校のグラウンド。
「あっ、雨が降ってきたよ…。とっと、と終わらせて帰りますか。出てきなさい。この気は朔美ちゃんかな。いるのは分かっているから速く、」
そう言ったら遠方から、ナイフが飛んできたが、妖狐はそれをヒョイとかわし、
「出てきなさい。」
そして、朔美が影もなくフッと現れた。
「挨拶は、これくらいにしておかないとね…。アリス、でもこれからの攻撃は本気でいくよ。手加減は出来ないし、する気もないから。いくよ『妙技・刃加速(ナイフイグナイト)』! 」
そう言った瞬間、超高速でナイフが飛んで来た。が、妖狐は『血漆』で捌いた。
「アリス、あなたは私を捉えることは出来ない、何故なら私の『停止した世界』は私以外は動けないし、時を止めているから見えるはずもない。…でも、おかしい。アリスは、私が見えないのに何故、私のナイフの軌道が分かるのかしら? 」
妖狐は、神のモードにもなっていない、なのに何故に攻撃がかわせるのかと、疑いを持つ朔美である。
一方、妖狐は、
「悪いけど、朔美ちゃん。姿は見えてないと思うけど、あなたの『気』や『空気の流れ』で分かるのよ。そして、そのactは『10秒しか止められない』と言うことが大きな欠点であること。でも、姿を見せないのはどういう了見なのかな…。」
一向に姿を見せないことを少し疑問点に持ちつつ、戦いを楽しんでいるのであった。
「私の攻撃を食らいなさい。『妙技・千本刃(サウザウンド・ナイフ)』! (これを食らったらひとたまりもないはず。)」
「…『同調(シンクロ)・二重の影』」
そう言った妖狐は、影の中に溶けて、消えた。
「なっ?! あ、あれは『二崎影美』のactである、『二重の影』じゃないの、何で有栖川妖狐が持っているのは何故だ?」
そんなことを思っていた、朔美は妖狐の同調について知らないのである。
妖狐の同調とは、何か。妖狐が気を探り、覚えている気を自身と同調し、同調した人物のactを一時的に使用できる、模倣の技の一つである。ただし、自身(この場合、妖狐のことを指す。)とパワーが同等、又は格下の者しか出来ない。格上の人物は模倣は、出来ないが、真に迫ることが出来る。そして、模倣出来ない例外のactも存在する。(例えば朔美のactである、『停止した世界』などは模倣出来ない。)
「さて、朔美ちゃんを探さないと、ダメね。早めに決着つけんと、今日の晩ごはんの当番は私なんだよな…。んっあそこかな。」
「さて、もう決着をつけないとダメね。さてっ…。」
ガキィィィンと刃同士の音がぶつかり、妖狐が上から朔美に奇襲を仕掛けたが、朔美が勘づいて防いだ。
「『停止した世界』! さて、止まっていられるのは10秒しかないからさっと終わらせてあげる。『妙技・ジャック・ポット・スナイプ』!! 」
妖狐に逃げ場はない。そして、無数のナイフが朔美の計算によって様々な角度に配置されている。
「チェックメイトよ。」
ナイフの弾幕によって妖狐は…。
「悪いけど、その言葉は無しよ。『剣撃剣舞・水無月』この技で、攻撃を緩和させたけれど…、ダメージが。」
「何故あの攻撃量で無事でいられるのよ。」
「何故って、それはさっき言ったでしょう。二度も手間取らせないでよ。さて、これで終わりにするから。」
そう言った妖狐は、抜刀の構えをした。
「いくよ…。『剣撃剣舞・抜刀術、』」
「ならもういt、何この速…さ。」
「『
朔美は妖狐の放った『縮逗迴露』を受けて倒れた。
「…朔美ちゃん、悪いけど、こう言うのは学校の行事でやってくれないかな。と、言っても気絶しているから、聞いてないよね。」
「アリス、一つ聞いてもいいかしら…。」
「…何? 」
「何故、あなたは戦うのかしら? 」
「そこに戦いがあるからかな。…でも、何事も楽しまないと退屈になっちゃうよ。」
妖狐はそう言って家路へと帰った。
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