第16尾決戦Vs.泡狐

 一方、妖狐、理江、伊達先生の三人は、人間界と幻妖界を結ぶ世界、鏡の世界『鏡界』。

その鏡界の道中にて、番人である、『因幡宇佐美いなばうさみ』と対峙していた。

「悪いね、アリスちゃん。ここは、許可なく通せないから、人間界に戻ってくれないな? 」

「嫌です。私は、自分自身の謎が、知りたいん

です。どうしても通せないなら、倒してでも、通ります。宇佐美先輩! 」

 そう言った妖狐は、二刀一対の『狂渦きょうか』、『粋抉すいげつ』を手にし、宇佐美に襲いかかった。 が、宇佐美はその攻撃をかわし、槌を出して妖狐に槌で攻撃した。が、妖狐は、それを片手で受け止めた。

「おや? もう、その力を手にしたんだ。深淵のモードを。」

「何で、先輩は知っているのですか? 深淵のモード。」

「知ってるも何も結構有名だよ。」

「まぁ、いいです。さっさと、終わらせましょう! 」

 妖狐は、二刀流で攻撃し、宇佐美は槌で応戦する。二人の戦いは、激しいものであった。

 そして、

「悪いけど、これで終わりにするよ。『雷槌翔破らいついしょうは』!! 」

 宇佐美は、槌を掲げ妖狐に向かって雷を落とした。

「さぁ、お帰り手加減は、してある…か、ら。」

 と、いきなり倒れた。

「悪いけど先輩、あなたに構っている暇はありませんので…。」

 妖狐は、抜刀術『神奈月』で攻撃していた。

 そして、三人は幻妖界の『狐の里』へと向かい、里の大きな社に突撃した。

「三代目様いや、お母様! 今ここで、決着をつけましょう! 」

「…ついに、来てしまったかの。お前と戦うのを。もう少し、力を付けてもよかったが、そこのサトリの小娘で機が早まっただけで、こうなる運命さだめであった。

さぁ、行くぞ決戦の地へ。」


 妖狐達は、決戦の地と赴いた。

 そこは丘である。一面は、草や緑でいっぱい広がる高原のような丘である。

 そこで、妖狐と泡狐の二人は対峙していた。


「さて、お前の成長を見させてもらうぞ! 」

「…行きます! 」

 妖狐は、泡狐に斬りかかった。が、泡狐は

それを『三代目・無月』で受け流し、回転してそのまま妖狐めがけて斬りつけようとした。

妖狐はそれを察知し、小太刀の『狂渦』で受け止めたが『狂渦』の刃が砕けた。

「どうした、妖狐。これでは、お前の得意である二刀の心得である、二刀流ができんの。さぁ、どうする? 」

「…条件は、整った。いきますよ、三代目様。この、刀の『二刀一対』の真の意味それは、二つの刀を合わせる事で一振の刀となること! そして、その真の姿が現れる! 

来て、『鏡花水月・真打』!! 」

 壊れた『狂渦』と、まだ壊れてない『粋抉』が重ね合わさると、なんと、刃に花弁はなびらをあしらい、鞘と柄に波紋を拵えた一振の刀へと変化した。

「…『神妖混濁しんようこんだく』のモード。又の名を『カオス』のモード!! 」

 妖狐は深淵と神依かみしろのモードを合体させている。

姿はテストで纏った衣装に腕が黒く、白い羽衣、そして『鏡花水月・真打』と『血漆』の二つの刀を持っている。

「何じゃ? その姿は。見た事ないぞ? 」

「それもそうです。このモードは私が編み出したモードなの。

さて、ここから先は、知らないことが多いから覚悟して欲しい。

何故なら…。」

 そう言った妖狐は、泡狐の着物の袖を斬り裂き、

「力の加減が出来ないのでね…。」

「なかなか、やるの。でも、わしも、使えることを忘れないでくれよ。深淵のモード!! 」

 そう言った泡狐の腕が黒くなった。

 そして、二人は同時に言う、

「「さぁ、始めよう楽しい楽しい『剣撃剣舞』の世界へ!! 」」

 そのセリフを合図に、二人は鍔迫り合いをする。そして、泡狐から仕掛けた。泡狐が斬り上げて攻撃をするが、妖狐はその攻撃をかわし、懐へと向かい斬る。その攻撃を泡狐は、かわし柄で、妖狐の頭を叩こうとするが、妖狐は穿空せんくうで攻撃する。泡狐は空を穿つ空気の刃をかわし、妖狐に斬り下げて攻撃する。で、妖狐は、舞狐で対抗する。そして、泡狐はその猛攻に耐えきれず、妖狐にスキをみせた。妖狐はそれを見逃さず、

「『剣撃剣舞・天上昇ル月』! 」

 で、泡狐を空中に上げ、

「『月天昇』! 」

 で、さらに空中へ上げた。そして、妖狐が追撃しようと、したとき泡狐が、

「ほう、空中戦をのぞむか。だが、そこはわしの領域じゃ! 『泡沫術ほうまつじゅつ:泡沫うたかたの舞』! 」

そう言うと、何処からともなく泡が、でてきた。そして、光が屈折し、

「妖狐、悪いがお前の負けだ。真っ黒焦げに感光するがよい。『乱狂乱反射』!」

光が泡のレンズからレンズへ反射し、妖狐へと向かうが、妖狐は、

「『瞳術:濁り』、悪いけど私には、仲間がいるの、龍成、や密狸ちゃんそして、鵺ちゃん達が、いる。今の私は負けられない! 」

「ほう、親に対して反抗か? 

いい度胸だ、ならここで、その精神を叩き直してくれる! 」

 ガキィィィン…。と二人の刃がぶつかる、

一方は仲間との絆を掲げて、もう一方は里の長として、親としてのプライド持って、二人の鍔迫り合いが続いた。

 そして、二人の鍔迫り合いに終止符ピリオドが打たれる。

「『言霊ことだま縛り』! 『止まれ』。」

「急に、動きが、…。」

 妖狐の発した言霊によって、泡狐は止まった。

 そして、妖狐は無形の位になり、

「これはあなたも知ってるはず。『剣撃剣舞・終の型:鏡花水月』…。」

 その攻撃はどんなものか、わからない。

 ただ受けた相手は、『攻撃を受けた』と言う感覚はあるが、理解出来ない攻撃である。

「よく、成長したの…。妖狐。」

「三代目様、いや…、お母様には敵いませんよ。」

「妖狐、一つ訂正をしないといかん。サトリの娘が、『襟狐が師匠』だと言ったが、あれは間違いでおり。妖狐、お前の師は別におる。」

「えっ! 」と言う大きな声が丘にこだまする。


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