第15尾妖狐と真実を見る眼

 次の日、妖狐はいつもように学校に来た。そして、クラスメイトの『里見理江さとみりえ』が突然、話を掛けてきた。

「アリス、ちょっと来てください。」

「何、里見ちゃん。」

「今日はあなたを見ようと思いまして。」

「いいけど、どうしたの急に。」

「クラスメイトの過去を見ましたが、あまりに平凡というか、ありふれている感じで、あなたはどんな感じか気になった次第で。」

 と、言う彼女は『里見理江』クラスメイかトの「人生相談」と言う名の過去を覗く変わった趣味を持ち『天眼』の二つ名を持つ少女。

 さて、妖狐と笑い話をして、里見は妖狐の手を握り、天眼で妖狐の過去を見た。

(…これは、アリスと、誰? 三代目と呼んでいる。ん、この人は、アリスのお母さん。

っ?! 今、唇の動きが、アリスのことを『我が娘』と呼んだ?! )

(何を見ておる。小娘、ここから先は関係しとる者以外は、閲覧するのを禁じておる。どうしても見たくば、わしと戦え。)

(記憶から語りかけている! アリス悪いけど、あなたの過去に秘密がありそうだから私、戦うよ。)

(ほう、このわしに挑むとは、力の差を思い知るがよい! )

里見が戦う覚悟を決めたと、同時に妖狐は気絶した。

(いきますよ。『瞳術どうじゅつ:恵那えな』! )

(ほう、『瞳術』か…。小娘、サトリの一族じゃな。)

 さて、泡狐の言う、『サトリの一族』とは?

 サトリの一族は、様々な物を天眼で見通し、瞳術という特殊な術で、相手を退ける妖怪の一族である。

(『瞳術:大吟醸だいぎんじょう』!! )

と、突然青い炎が、泡狐を包む。

(ほう、なかなかやるの。だが、甘い! )

そう言った泡狐は消えて、いつの間にか里見の背後に回り、泡狐の持つ刀『三代目・無月むげつ』を里見の喉元へ突き立てた。

(…つまらん。もう、終わりかえ、ならここで消えるがよい! )

(『瞳術:濁り』。)

 そう言った里見は、消えて泡狐は自分自身を斬った。

(…まさか、自分の刀で。考えたな、サトリの小娘。)

(いいえ、こうするしかなかったんです。)

(ふっ、カッカッカッ! 今度は生身で会えるとよいな。そう言えば、名を聞いてなかったな。名をなんと申すサトリの小娘。)

(里見理江です。)

(そうか、いい名だな。妖狐を『我が娘』を頼んだぞ…。)

 そして、里見は現実へと戻った。気絶している妖狐は、里見によって保健室へと運ばれた。

 そして…、

「ねぇ、お母様…。はっ、ここは? 保健室。えっと、里見ちゃん、私は今まで何をしてって、どうしたのそんな真剣な表情かおをして。」

「あっ、アリス起きたのね! …いいアリス、今から話ことは大切な事なの。だから、よく聞いてね。」

「…う、うん。」

「じぁあ、まずはアリスあなたは三代目様と言う人物の娘であり、あの人は育ての親なのよ。そして、あなたは今まで、狐袖と言う人物に 洗脳をかけられていて、記憶を曖昧にされていたのよ。ここまで理解できる? 」

「う、うん。」

「で、続けるよ。あなたの師匠はあなたを育てていたあの人で、お兄さんは拾われた捨て子なの、お父さんは冒険家なのは本当にらしいの。で、あなたは稲瀬先生に…って妖狐? 」

「ぜ、全部、思い、出した。お母様は私に、狐袖さんに…。」

 妖狐は、泣いた、ひたすら泣いた。ただ、ただ、泣いた。そして、10分後。

「ありがとう、里見ちゃん。おかげて、決心がついた。まずは、荷穂先生に会ってくるね。じゃあ、」

「待って、これは私とあなたとの秘密にしたいから、私もついていく。」

「分かった。って、そう言えば伊達先生いたんだ。伊達先生はどうします? 」

「…今回ばかりは、ちょっとばかしヤバいのに会っちまったからな。しゃーない付き合うよ。」

「…伊達先生。ありがとうございます。さて、そろそろ、」

「その必要はないよ。妖狐。」

「先生…。」

「荷穂、もしやろうなら、外でやってくれないか? どうせ妖狐を力ずくでとめるなら…」

「いや、今回は直接三代目様に会いに行く。その方が…。っ! 誰か来る! 」

「…おい、誰だ狐袖に頼んだ記憶の封印を解いたやつは? 今すぐにでも、叩き潰す! 」

「先輩、私がやりました。 (三人は早く、狐の里に。) 」

「 (えっ、でも。) 」

「 (いいから、早く! ) 」

「 (分かりました。) 」

 妖狐達三人は幻妖界へ向かっていった。そして、狐二人は、学校のグラウンドへ、

「悪いですが、先輩。今回は勝たせてもらいますよ! 」

「黙れ! 今は虫の居所が悪い、だから本気でいく! 深淵のモード! 」

 そう言った襟狐は、腕が黒くなった。そしてっての荷穂は、感覚で理解した。目の前にいるのは、気の台風の中心であり、バケモノを相手にしているのだと。

「私もいきますか。こい、『無銘』! 」

「ほう、お前は私を舐めているのか? ならば、今、死ねぇい! すぐ、死ねぇい!」

「いや、舐めてはいませんよ。私はで十分なので。と、言っても先輩は、もう終わってますがね。」

「ウルセェ! ほざいてろ! 」

「さて、あなたは次に『お前をやるのに1秒もかからない! 』と、言う。」

「お前をやるのに1秒もかからない…ハッ?! 」

「もう終わりですね。」

 そう言った荷穂は既に抜刀し終わっでいた。

「『多次元抜刀:次元断』。」

 襟狐は倒れた。

「…私は先輩のそんな姿見たくなかったです。でも、少なくともそんな先輩を慕っていますよ。襟狐先輩せんぱい。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る