第14尾妖狐の覚悟と深淵の力

ある日、妖狐は『狐の里』で泡狐に呼ばれていた。

「呼び出してすまない、妖狐。今日、来てもらったのは他でもない『印』について、話すことについて話す。妖狐、能力を出してみい。」

 と、言われるがまま、テストで纏った衣装になった。

「さて、妖狐。本題はここからじゃ。右の黒い布を脱いでみい。」

 脱ぐと妖狐の綺麗な素肌と手の甲に何かしらの紋章がある。

「いいか妖狐、この『印』がお前に様々なものを与える。それは、『力』かもしれん。もしくは『悪し心』かもしれん。だが、その力

使うのはお前じゃ、妖狐。どう導くのかはお前次第だ。さぁ、受け取れ! …深淵の力『アビスモード』の使用解く。存分に使い、他の者を圧倒せよ。」

 妖狐は、早速『印解』と言い、手の甲にある『印』を触れると、妖狐の腕が赫黒く肩の辺りまで印が広がっている。

「どうじゃ、感覚としては。何か変わった事があったら私に伝えてみろ。」

「…何でしょう。神のモードとは、違った力が

伝わっています。多分、妖怪としての力でしょうか? 」

「カッカッカッ…。そうか、そうかこんな感想か。やはり、妖狐、お前はおもしろい。悪いが自分の分身と戦ってくれ。妖狐、お前の実力を試してみたい。やってくれぬか? 」

「はぁ、わかりました。やりますよ。」

 そう言った妖狐は、一人分身を出して、構えた。

 そして、「開始」と同時本体は攻撃をした。分身はそれをかわし、懐に向かって斬り付ける。本体はそれを回転しながらよけて『血漆』で攻撃する。それに対して分身は『狂渦』、『粋抉』で応戦する。二人は、自分の強い一手で攻撃をする。そして、もう一方はその上を行く一手で攻撃をする。まさにこれが、『剣撃剣舞』の美しい形である。激闘から30分が経過した時…。

「「抜刀術で決着をつける!!!! 」」

「「深淵のモード!! 」」

「「『剣撃剣舞・抜刀術!! 』」」

「 狐影斬月!! 」

「 神奈月!! 」

二つの斬撃がぶつかり合い、二人はその攻撃を正面に食らった。本体がフラッとよろめいた。

「…やっぱり本体は強いな。」

 そう言った分身は、倒れ消えた。一方本体は分身の蓄積したダメージを食らい倒れ、気を失った。

 そして、翌日

「おっ、気が付いたか。よくぞ、自分の分身に勝った、と言っても考えることは、だいたい察しがつくだろうでも、勝ちは勝ちだ。一杯やろうや。」

「…何故、今酒を飲んでいるのですか、泡狐様。あと、私は未成年ですのでお酒は飲めませんよ。」

「ん、これか、これは祝い酒かの。」

 そうとぼける、泡狐であった。

そして、翌日妖狐は人間界に戻った。1日休みをもらいその次から、学校に行くことにした。そして、その休日にある人物が訪れた。

「姉さん、帰って来たなら、の話を聞かせて欲しいな。」

「えーっ、嫌だよ。冷やかしに来たなら帰れ。狐袖こそで。」

 彼女は有栖川狐袖、襟狐の双子の妹である。双子といっても二卵性なので、姉妹程度の違いしかない。ちなみに職業は警察官で、このアパートから近い署で働いている。

「うるさいな、姉さん。あっと、妖狐はみやげ話あるかな。」

「えっと、狐袖さんちょっと二人で、散歩しませんか。お母さん、狐袖さんと二人でそこら辺ぶらついてくるね。」

 狐袖は妖狐に言われるがまま、外に出ていった。そして、襟狐がいないのを確認して改めて妖狐に質問した。

「妖狐、あっちで何があったか、教えてくれない。」

「あっちだと、三代目、泡狐様が深淵のモードを教えて、私同士で戦ったことかな。」

「そうか、三代目様はそんな事を教えてくれたのね。妖狐、あなたはもう覚悟を決めないといけないと思うよ。多分、龍成君に『何故、深淵のモード(その力)を手に入れたか!』ってね。」

「…龍成にね。」

 そう言って、思い更ける妖狐であった。そして、数十分後、アパートに戻った二人。

「ただいまー、母さん。」

「戻ったよ。姉さん、…今、暇。」

「今、仕事が片付いたから暇だが。」

「姉さん。…ちょっと、話いいかな。」

そう言った狐袖は、襟狐を奥の部屋へ、と姿を消してしまった。そして、一時間後。


「妖狐、喋ったのか…。」

「そうだけど、私何かお母さんが怒らすこと

言った? 」

「いや、それならそれでいいが…。」

 と少しいぶかしげに、部屋に戻っていった。妖狐は少し母に対する疑問を持ち始めた。

そして、次の日、妖狐を試すかのように運命は動く…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る