第36尾.最終決戦、〝幻影なる殺人鬼〟再び
〝大将の人は出てきてください。〟
「やぁ、〝有栖川 妖狐〟わっちだよ。」
「久し振りだね、〝わっちちゃん〟。」
立葉は、妖狐の〝わっちちゃん〟でずっこ
けた。
「……。お前は少し緊張感を持てよ!
いいか、わっちの名前は『尺澤 立葉』ッ!
もう一回〝わっちちゃん〟って呼んだら……、」
「嫌だね。忘れた、私の本質は〝狐〟だよ。
他の人の神経を逆撫でて、弄ぶのが私達
『妖怪狐』のやり方だよ。」
「そう、ならわっちも〝わっち自身〟の本質を教えてあげるよ。
わっちの本質は〝霧〟だよ……。
わっちのact『幻影なる殺人鬼』の〝actress1〟はただ単に霧を出すだけだった
けど、〝actress2〟は……。」
なんと立葉が二人になった。
「そう、〝actress2〟は幻影を見させる事
だったのだよ。
このactで、わっちは何人でも増や
すことが出来るんだよ!」
とべらべら喋る、立葉。
「そんなに秘密をバラしていいの?」
「ふっ、どうせお前はわっちのactに成す術
なくやられるから、ハンデとして丁度いいん
だよ。」
「ふーん……、まぁいいや。さっさと終わ
らせようよ。」
「そうだな、わっちもそれには賛成だな。」
審判が「始めェ!」と言うが、二人は
「あら、お先にどうぞ。」
「そっちこそ……。」
と、距離を確かめる様に攻撃するタイミングを見計らっている。
一方、その様子を見守る龍成達は、
「……。」
「どうした、先生。そんな怖い顔をして、
らしくないぞ。」
「ん、そうか? それよりも龍成。
妖狐の方を見ておかないと……、」
「あっと、そうだった、そうだった!」
(さて、妖狐はアレを使う気はある
のだろうか……。)
─回想─
「妖狐、ちょっとばかし付き合え。」
「へ? いいですけど……。」
と、妖狐は稲瀬と一緒に人気のないところへ
行った。
「……さて、誰もいないな。妖狐、自分の
属性を考えた事はあるか?」
「えっと……、全くないです。」
「安心しろ、私もない。
でも、覚えておいて損はないぞ。」
「はぁ……。」
「と言う事で、軽く〝属性〟について説明
する。
私達の世界の属性は基本的に7つに分か
れる。
〝火、土、木、金、水〟の〝五行〟と
〝闇と光〟だ。
そして五行の属性には陰と陽の『相』に
分かれる。
〝陰の相〟の属性は〝焔、泥、雷、鐚、濁〟。
〝陽の相〟の属性は〝煌、壌、森、鍛、瀑〟
となる。
分かったか、妖狐。」
「うん、だいたいは?」
「んで、本題だが。
妖狐、お前は〝木〟の属性で〝雷〟の相だ。」
「う、うん。」
「それでだ、妖狐。私の真似をしろ。」
「先生の動きを真似るのですか?」
「そうだ。」
そう言って、稲瀬は掌を出し、その掌から一瞬
〝バチッ〟と閃光が走った。
「成る程、掌に〝雷の気〟を集めて、溜めて、それを放出して、留めると言うことですね。」
「おっ、察しがいい。
つまりは電気の塊を掌に出すイメージだな。」
「では、……。」
と一回、妖狐は深呼吸をしてから、目を
〝カッ〟っとさせると、妖狐の掌から雷が
出てきた。
「どうですか、先生!」
「今度は留めろ。」
「えっ、やるのですか?」
「いいから!」
「……ッ!」
(……、私の場合はこの修行で雷出すのを半日
かけてやったのだか、
やはり、三代目様の血筋と先輩の教え込みの量かな……。)
「1分経過!」
「よし、そのまま4分保て!」
─現在─
「ッ! バカ妖狐!」
と、ベンチから叫ぶ龍成。
「今、出来た。……新しい技が!」
と小声で言う妖狐。
現在の状況、大量の立葉が妖狐を襲いかかっている。
「逝ねよ、雷電。行けよ、地走り。
……〝逆雷〟ッ!」
そう呟くと巨大な稲妻が空に向かって放た
れる!
「くっ、まぶしッ!」
立葉は一瞬目を瞑るが、それが勝負の明暗を
分けた。
「剣撃剣舞……。」
「ッ!? しまっ──」
「〝零型:孤月〟……。」
妖狐の抜刀術で立葉はやられてしまう。
立葉の敗北と同時に妖狐達、那騎袖高校の全国
行きが決定した。
「ごめん、みんな……。」
「いいよ、次はね。」
「私達の後輩に託そうか。」
──冷泉の大会はここで終わった。
県大会翌日のミーティング
「さて、お前ら。
ここからが本番だ! いいか気を引き締め
ろよ!」
『はい!』
「……。」
密狸は黙っていた。
actors~有栖川妖狐奇譚~ Darsan @DARSAN
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