第33尾.新しい力と、それから……

さて、妖狐が扱うact『鏡夢なる玖尾狐』が

抜かれて数日が経った。


妖狐は施設の部屋で寝ている、その周りに


「起きろ、あるじ! 起きろ! ……起きろぉ、クソぬしがぁ!」


と、『虚刀・有栖川』から声がする。


「うーん、うるさいわね、『ツッキー』。」


「おい、その名前で呼ぶなあるじよ。」


「ハイハイ、『虚刀・有栖川、搭載型AI』

別称『ツクヨミ』。」


「始めからその名前で呼べ、あるじよ。」


「えー、堅っ苦しいから、『ツッキー』の方が呼びやすいけどなー。」


と、会話をしながら、妖狐は布団から出て、

パジャマからジャージに着替えた。


「さて、今日も修行だよ!」


「そうだな。」


現在は午前5時早朝、妖狐は泊まっている施設の周りを走っている。


7時に朝食を済ませ、そして10時。


「おい、妖狐。操と組み手をしろ。」


と稲瀬が言う。


「いいですけど。」


「操、ラグナス様を出せ。」


「えっ? なん……。っ!」


と、急に操の裏人格である、「マリーブラッド=ラグナス=ハーヴェスト」に変わる。


「おい、イナホ! どういう了見かしら?」


「いや、ただ体が鈍っていそうなので、少し

運動を……。」


「む、そうだな。おい、狐。本気で……、

って何だ、その刀は? 近未来な形をしているが……。」


「あっ、これですか? コレは私の新しい刀

です。その名も『虚刀・有栖川』。」


「ふむ、そうか。」


「それじゃあ、いきますよ。〝能力接続アクトプロトコル〟、〝同調開始チャネルリンク〟、〝番号名チャンネルナンバー――〟〝1〟。」


と言うと妖狐の周りに多くの画面が出現し、

AIの『ツクヨミ』が解析し、こんな言葉を

言う。


「〝虚構能力イマジナリーアクト〟、〝能力名アクトネーム『鏡夢なる玖尾狐』〟、〝能力者同調アクターシンクロ〟、〝異常レンジオールクリアなし〟、〝番号能力接続チャンネルアクセス〟、〝能力名チャンネルネーム〟、〝1〟〝人間ベーシック〟」


「……この感じ。おい、狐。お前actを抜かれたのか?」


「『抜かれた』と言うよりかはに『変換された』と言うべきかな?」


「そうか、私も素手だと不公平だろう。

だから、〝魔工武アーティファクト〟を使う。

来なさい、〝魔工武〟『紅薔薇ブラッディローズ』。」


ラグナスの手にした武器は巨大で、禍々しい

雰囲気を放つ『魔大剣』である。


「さて、始めるぞ、狐。」


「分かりました。いくよ、『ツクヨミ』。」


「分かっておる。いいか、あるじよ1チャンネルにつき、5分が使用時間の限界じゃぞ。」


「分かっているよ。……さて、いくよ。」


妖狐の目の色と空気が変わる。


空気が一気に張り詰める。


そして、


「〝天狐月夜原アマツキツネノツクヨハラ〟、〝陸式ムシキ:長月〟!」


そう言って、妖狐は、ラグナス目掛け『胴』を放ち、斬り込むが、ラグナスは大剣ブラッディローズで、その攻撃を受け止め、弾き返し、そして、そのまま妖狐に斬り掛かるが、

妖狐は、ラグナスの攻撃を利用し、ブラッディローズを踏み台にして、高く飛び空中へ、

そして、


「――〝弐式フシキ:葉月〟!」


で、自由落下と同時にラグナスに対して突きを

繰り出す。

が、ラグナスは妖狐の攻撃を薙ぎ払い、

『虚刀・有栖川』を弾き、妖狐に拳を叩き込もうとした時、妖狐のactが発動する。


「〝虚構人影イマジナリーヒューマン・ページワン〟。」


なんと、いきなり妖狐が消えた


「なっ!?」


そして、音も無く〝スッ……〟っと、ラグ

ナスの後ろに妖狐が現れて、


「おっと、動いたら……。」


「両者、そこまで!」


稲瀬の声で、二人の組み手は終了した。


「妖狐、今のはまさか……。」


「先生、私、actが出ました。」


「……うむ、妖狐。お前のactの名前は、

虚構イマジナリー・のアリス』と名付けておこう。」


「……これが、私の新しい〝能力アクト〟!」


その後、午後の昼下がり、


「さて、お前ら『全国actor選抜大会』まで、時間がない。

そこで明日から、メニュー量を増やす!」


と、6人に伝える。


妖狐達6人は、全国の前に県大会を勝たないといけないのである。


県の大会まで、後3日……。

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