第25尾.不倶戴天の怨みの鬼

2月のある日、世間を騒がすニュースが流れた。

その記事の内容は、

「呪われし妖刀、『怨鬼えんき』が盗まれる。」

と言うものだった。

このニュースは、県全域に広まり、妖狐達の耳に入った。

――おい昔、虐殺事件の時に見つかったあの刀が盗まれたぞ。

――あの刀は、いい噂は、聞かないからなぁ。


「怨鬼」とは、岐阜県の刀鍛治が有名な、市の美術館に保管されている。

別称は「不倶戴天」とも言われている。

その刀に触れた者は、刀に取り憑かれている怨霊によって操られ周りの者を斬りつける、非常に危ない刀である。


そんな危ない刀が何者かによって盗まれた、そんな状況、妖狐達美術部はある依頼を受けた。

依頼の内容は、

「『不倶戴天』を元の場所に戻せ」

と言うので、あった。


それぞれは情報を集めた。


そして、数日後。


「……。」

妖狐は瞑想している。

「妖狐、イナホが来たぞ。」

「……、ふぅ。分かりました、今からそっちに行きます。」

と大きな声で返事した。


一方、龍成は、

「……あの刀、結構な業物なのに。」

と、ボソッと言ったら。

「何を言っているの、龍成。あれは、多くのさ怨霊が憑いているのよ。危ないから止めときな。ねぇ、冬姉。」

と、赤い髪で、ボブヘアーが特徴である。龍成の姉であり、勝龍神社の巫女である。暁が言うと、隣の双子の姉である、雪のような髪をした、冬留が、

「そうよ、暁の言う通り、危ないし、あまり関わらない方がいいよ。ああいうのは、妖狐ちゃんに任せた方がいいのよ。」


そして、鵺の家

「じいさん、あんたの刀は大丈夫か?」

「そうだな、ワシの集めた刀が蔵にあるからな、危ういならどこかに隠さないとな。」


妖狐達、喫茶「アメイズ」へ視点を戻そう。

今、妖狐は荷穂から今回の事件のメモを見ている。

「悪いなイナホ、わざわざこっちまで来て、情報提供までして。」

「いいんですよ。導狐さん、それより、妖狐。いけるか?」

「メモの内容は了解しました。私は、いつでもいけますよ。」


そこから、3日後。

「……さて、これを売れば。」

「悪いけど、その刀は売っちゃあ、いけないよ。」

「何だ、ガキ。こちとら盗みをしているんだよ!『はい、そうですか』と簡単に聞き入れるかよ!」

そう言った男は、怨鬼を抜き、妖狐に斬りかかったが、妖狐は

「『剣撃剣舞……』。」

と、言うが斬られてしまい。

「フッ、雑魚がっ!」

と言った男は後ろを向いた瞬間、倒れた。

「『偽月ぎげつ』……。」

男が見ていたのは幻影の妖狐であった。

妖狐は、「怨鬼」を取ろうとすると、

「ダレダ、ワレノジャマヲスルノハ?」

と、男の声でナニカが喋った。

「私かな?私は、人間であり、妖怪狐である。そして、あなたを祓う者でもある。」

「ホウ、ヨウカイギツネカ?ナラバ、ワレヲタノシマセテクレ。ソシテ、ワレノモトヘコイ!」

「さて、楽しませてくれるよね。『怨鬼』さん……。」

男と妖狐は間合いを確かめている。妖狐は下段の構えで、男は八相の構えで、様子を見ている。

先に男の方が動いた、袈裟斬りで妖狐に攻撃したが、妖狐はそれをかわし、逆袈裟斬りで刀を弾いた、が男は妖狐に素手で襲いかかろうとした、だが妖狐は刀を一度納刀をして、男の鳩尾みぞおち目掛けて、

「『狐砲烈破』!」

を放った。

瞬間、男の体に衝撃が走り男は倒れ、その後ろには人の形を模した、黒い「ナニカ」がいた。

「やっと正体を現したね。『妖刀・怨鬼』いや、正確には『名前のない怨霊』かな?

悪いけどこれ以上、被害を出さない為に除霊させてもらうよ。」

怨霊は、妖狐目掛けて襲いかかり、妖狐を侵食したが、

「悪いけどこれで終わりだよ!」

と、後ろから声がした。

そして、

「『剣撃剣舞・孤影偽月』……。」

抜かれた刀の刹那の一閃により、怨霊は消えた。

怨霊は、消える際に

「オマエハ、ナニモノダ……。」

「……私は『狐』だよ。それ以上でも、それ以下でもない。相手を化かし、騙す『妖怪狐』ただそれだけ。」

そう言った妖狐は、刀を取って、その場を去った。

後日、刀は返され、男は窃盗罪で逮捕された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る