第10尾師走の狐と総大将
さて、今の季節は師走であり、時期はクリスマスに近くアリスは暇である。
学校はもう終業式に近く誰もが忙しい。が、そんなアリスは暇をもて余している。
「あー、クリスマスはバイトで忙しいからいいとして、年末年始はどうしても暇だなー。」
と気だるそうに独り言を呟いていると、鵺が後ろから、
「アリス、じゃあ家に来る?年末年始、私と使用人さん一人とじーさんの三人になるから泊まりに来なよみっちゃんと龍成も誘ってね。」
そして、12月31日の昼ぐらいに稗田邸に着いた。大きな和風な屋敷で中もそこそこ広く、使用人の数人いて、使用人専用の部屋があるぐらい広い屋敷である。で、隣には蔵があり、そこに様々な刀剣や人形などが仕舞ってある。
「はえー。すっごい広い、この屋敷どれぐらい広いのよ…。」
「俺も鵺の家がこんなに広い屋敷とはあんまり見たことないぞ。」
「えっ、あっ、そっかあ。二人は鵺ちゃんの 家、初めてだもんね。たぶんだけど、剣三さんも見るの初めてかな? 」
「剣三さん。…えっと誰だっけ、龍成。」
「えっ。妖狐、知らないのか! 剣三さんと言えば、有名な刀剣収集家だぞ! 妖狐の師匠の知人じゃないか? 」
「…ごめん、幼い頃の記憶は曖昧であまり、思い出せないの。」
「そうか」と龍成が言ったと同時に風格のある老人と、鵺と、着物を着た女性が出てきた。
「ごめん、ちょっとしたトラブルがあったから少し遅れちゃったあっ、それとこの二人は私のじーさんと使用人の『お戸根』さん。」
「どうも、孫を世話させてもらいありがと。わしは『
「どうも、ご友人方、お嬢の使用人『お戸根』と申す者です。」
と、二人の自己紹介を終わらせた頃に雪が降って来た。アリス達は屋敷の中に入り、アリス、
龍成の自己紹介に入った。
「さて、中に入った事だし、改めて自己紹介をしよう。俺は『
「うむ、神鳴か…。神鳴家と言ったらあの神社ですね。当主はお前さんかね。」
「いや、今は
「そうか」と剣三は言った。そして、妖狐が早く言いたそうに目を輝せているのを見てちょっと申し訳なさそうに、「どうぞ」と言った。
「では、私は『
と自己紹介したとき、『有栖川』と言うワードに剣三は眉をピクッと動かした。それを見のがさないアリスは、一つ質問をした。
「そう言えば、剣三さん。一回、私と会いました?」
「さぁな、それは、わしではなく自分に聞いてみるのだな…。」
その言葉はアリスに衝撃を受けた。そして、それを境に少し考える様になった。
「さあ、ご友人達、あなた達のお部屋に案内します。行きましょう。」
と、お戸根さんが案内して、アリス達が去り際に、剣三がニヤリとした。
そして、アリスはその記憶を思い出した。幼き思い出が…。
……
「ねーねー、ししょー、そのおじいちゃんだれー?」
「ん、この人は、大事なお客さんだよ。」
「その子は、あんたの娘か、孫かえ?」
「いいえ、この子は私の弟子です。」
「そうか、弟子か、大切にしてくれ。おじょーちゃん、おじーちゃんのこと覚えておくといいぞ、後に会えるかもしれんからな。」
……
「そうか、あの人だったんだ。あのおじいちゃんだったんだ。」
部屋に着いたと同時にアリスは呟いた。
「どうした、アリス?何ブツブツ言ってるの?ほら、そんなことよりゲームしない?四人でババ抜きしない?」
さて、ゲームが終わる頃、剣三がアリスにこんな話を持ちかけた。
「妖狐殿、一つ勝負しないか…。」
「いいですけど、何で勝負じます? 」
「お前さん剣術が得意と聞いたので、わしの庭で剣術の勝負しないか? 」
「いいですけど。(でも、何で剣術なんだろう…。)」
と、アリスは少し疑問を抱きながらこの屋敷の庭へと向かった。
外へ出ると雪がちらつき、所々積もっている。庭の広さは小さい家ならすっぽり入ってしまうぐらい広い庭である。
そして、二人は構えた。和服に半纏の剣三に対してアリスは、九尾解放の衣装である。
「…寒くないか、その服装で。」
「心配ありがとございます。でもこれ案外、暖かいですよっ! 」
と、喋りながらアリスは『狂渦』を抜刀したが、あっさりと受け止められて、それ以降会話はなく剣撃の応酬で、激しいぶつかり合いを30分くらい続けた。そして疲労が見え始めた頃。
「これは使いたくはないけどやるいかないか…。はぁ!」
と、大きな声で叫ぶと空気の感じと、アリスの額に紋章が浮かんだ。
「『血戦壊崩』これは、5分の制約が有るけど私の身体能力等を、引き上げてくれるの。さぁ、決着を着けようか『妖怪の総大将』さん…。」
と、その姿は赫い血のような髪の色を着飾るアリスがいた。
その姿を見た剣三は、
「わしはこの勝負を棄権しよう。」
そう言った。
「…一応、聞きますが、何故ですか?」
「瞬間。恐怖を感じ、殺される感覚に陥り、命の危機を感じたから。とでも、言おう…。」
そして、翌日。アリス達は、自分たちの家に戻った。
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