第2尾妖狐と炎のライバル(自称)

 四月下旬、某日、那騎袖高校、別棟、二階、美術室、アリス達美術部部員達はある秘密を持っている。表の顔は普通の美術部員だが裏の顔は依頼をこなす万屋であり、依頼は顧問の稲瀬荷穂、ジム・マスクウェル=オーエンの二人から伝えられる。これを知ってるのは校長先生、顧問の二人、美術部全員である。

 とある日美術室でアリスは自分の創作しているイラストとにらめっこしていた。イラストは下描きの状態であり進展もないようだ。そんなアリスの後ろから

「おい、妖狐! 作品を描き上げろ!」

 そう言った彼女は麒田枷麟きだかれん、この美術部の部長であり、この高校の生徒会長で2年生である。一言で言うと文武両道の完璧少女であり市内で有名な一族である。

「そう言われても部長…。描いてもコレジャナイ感じが否めないと言うか何と言うか…。」

「うるせぇ! さっさと描きあげろ、いいな! 」

「龍成は何を、ってそう言えば立体造るって言ってたね。進捗はどうかな。」

「どうも、何もアリス、お前と違って俺は 2、3日で終わる。が、アリス、お前はアタリばっかりやってもう一ヶ月も経とうとしている。部長も言っているが早く5月までに仕上げないと作品展に出せない、だから、『アタリのところから脱出しろ。』と言っておこう。」

「むー」と膨れっ面したアリスに密狸が紙を持ってきた。

 その紙には『果たし状』と書いてある。

内容は

『有栖川妖狐に決闘を申し込む、日時は明日の早朝。場所は白縫道場。来なければ、あの少女は実力なしと噂を広めさす。』

と言うものであった。

白縫火頼しらぬいひより」自称有栖川妖狐のライバルと本人は豪語する。何かとアリスと比べては勝負を挑むが瞬殺koで負けている。本人曰く「本気を出していない」とのこと。ちなみに彼女の家は有名な剣の門家である。

「……あーこれは絶対あの子の仕業だわ。一応行くけど。」

「あいつか、あの自称ライバルの白髪の炎使いの。」

「そうそう、火頼ちゃん、多分瞬コロだと思うけど。」

 火頼は自分の家で剣術を教わり全国に行く程強かった……が、中学時代アリスが出てきて、対戦したことにより軽いスランプになった。スランプは三ヶ月で治したが、それ以降アリスを徹底研究するようになった。

 そして翌日、白縫道場にてアリスと火頼が対峙していた。

「よく逃げずに来たな、妖狐!決闘のルールはこうだ

1.actの使用は許可する。

2.一撃当てたら勝ち

どうだ簡単だろう! 」

「……。」

 審判が開始ッと言ったと、同時に火頼が先制した。

「食らえ!『昇炎柱』燃え尽きて焦げ死ぬがよい! 」

 火頼の放った火炎の柱はアリスを包み熱死させようしたが、アリスの一振りで炎は消え去った。

「これで終わりだ! 」

 火頼の攻撃はしんを捕らえたがアリスはその瞬間消えた。

「『剣撃剣舞・幽撃』! 」

 その攻撃で勝負は決した。

 それから三日後、

「よし、そろそろ描き終わる!」

「なら、今日は色塗りまで終わらせろ、クソ狐。」

 そう言われながら、描いているアリス。

そのイラストは今にも動き出しそうな白髪の剣士と炎がそこに描かれていた。そして題名は「炎舞されし、焔の剣士」と、書かれていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る