8話 怪人の正体 Bパート
白い自動車から降りるソーグ。
テンペンが所有する建物の中で、
暖かそうな服装のジュンヤは、家に戻らなかった。
「なんで、誰も教えてくれないんだよ」
まえに
視線を水に移す。雄大な流れを見つめる瞳には、力がない。空は泣きそうな色。
誰かの気配を感じたジュンヤが振り向く。アキラがいた。同じクラスの女子のお兄さん。こげ茶色のロングコート姿で、なんだか重そうに見える。量の多い髪が、風に遊ばれた。
笑顔になった少年に、男性が声をかける。
「ベルトを渡せ」
何を言われたのか、少年はすこし考えた。
「え?」
「喋るな。これ以上、関わるな。あとは、おれがやる」
なにがなんだか、ジュンヤには分からなかった。だが、言うべきことがある。立ち上がって、アキラのほうを向いた。
「なにが起こってるのか、教えてくれ!」
「何度も言わせるな。知らない方がいい」
整った顔立ち。引き締まった表情を変えない。
いつものアキラとは、雰囲気が違った。優しくて、さわやかな笑顔で、どこか抜けたところのある人。宿題を見てもらったことを思い出して、幼い顔が複雑にゆがむ。
「ベルトは渡さない。あの力は、簡単に使っちゃいけないんだ」
少年が断った。
「力に善も悪もない」
こげ茶色のロングコート姿の男性が、黒いベルトを取り出した。知らない人にはスマートフォンに見えたかもしれない。
「ベルト? ウソだ。ウソだ!」
コートの前が開かれて、黒いベルトが腰に装着された。コートの中は黒い。
スイッチが押された。
「ジュンビカンリョウ」
「
光に包まれて、アキラが黒い姿へと変わった。ソーグによく似た、ペジ・タイプジーへと。
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