粒子ドライバー・ソーグ
多田七究
第一章 ソーグ
1話 変身 Aパート
夏休み最後の日。うだるような暑さで、都会の
まだ、あまり高い場所から光は
高い建物の上から小鳥が見下ろすなか、少年が元気よく歩いてきた。
歩道にならぶ
ガラス製の
ひんやりとした店内。とはいえ、あまり広くないため冷房を強くする必要がない。
その映像が、はっきりと
「新番組。ギアロード・ソーグ!」
TVには、ナレーションと同じ文字が映し出されている。
「
だが、
「放て。ファイナルアーツ」
どうやら、
「日曜日。あさ9時、放送スタート!」
ギアロードシリーズは、長年つづく
登場人物や
おもちゃと
おもちゃ屋の
まだ放送が始まっていないのに、ソーグの
少年は、がっくりと肩を落とした。
夏休みの宿題をもっと早く終わらせておけば、こんなことにはならなかったのに。というか、宿題ってなんだよ。なんなんだよ。
行き場のない感情をもてあました少年は、姿の見えない店員を探し始めた。
そして、箱に入っていないベルトを見つけた。
正確には、ガラス製のケースに入れられたソーグのベルト。少年には
「ジュンヤくん、遅かったじゃないか」
エプロン姿の男は、あまり見た目に気を配ってはいなかった。クセのある短髪があちこちを向いている。店員としての
「おにいさん。これ、売ってくれよ」
カウンターから身を乗り出して
「いや、もう29だし。おじさんでいいだろう」
「そうじゃなくてさ。頼むよ。サブロウさん」
両手を合わせて
「名前に“さん”もいらないし。それ、箱が違ったからなあ。
「え? どこも変に見えないけど。よく見せて!」
いまにも飛びかかりそうな勢いの少年に
ベルトといっても、腰に巻く部分はない。バックルのみで、スマートフォンのような見た目と大きさ。普通のベルトの上からはめ込む仕組みになっている。服に
本物と違いがない。ジュンヤには、カウンターの上のベルトが
「それで、いくら?」
「ん? 買う気か?」
「いま買わないと、いつ買えるかわかんないから」
ジュンヤの
「箱も
「いいの?」
「もともとベルトを巻くパーツがなくて、
しきりに礼を言う少年。
「まっ。
エプロンのひもが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます