第45話42
バレンタインの前日。長谷川家の台所では、チョコ作りが、行われていた。
「湯煎(ゆせん)で、チョコ溶かす時は、均等に刻むんだよ。そうしないと、キチンと、溶けないから。」
「わかった。イター」
「どうしたの?」
「指を切ったんだよ。」
「あーもう。水で、洗って絆創膏貼ってきて。」
真央は、チョコを作った事のないミズキに丁寧に教えていた。
「こう?」
「そうそう、そんな感じで、型に流しいれて。」
「後は、冷まして、冷蔵庫で、冷やしたら完成。」
チョコが、固まるまでの時間、二人は渡す方法について話していた。
「ミズキは、明日いつ渡すの?」
「私は、明日学校で、部活があるからその帰りに渡す予定。」
「俺は、うちに渉が来るからその時渡す。」
「ふーん。この前の日曜日、言った通り、渡す時、私って言うんだよ。帰ったらきくからね。」
ミズキは、意地悪な笑みを浮かべて、真央に言う。
「わかってるよ。絶対に言うから。」
「はいはい。そろそろ、出来てるんじゃない。チョコ。」
「ああ、忘れるとこだった。」
真央は、冷蔵庫を開けチョコをチェックする。
「いい感じだ。型から外してラッピングしたら完成。」
真央は、冷蔵庫から出してゆっくりとチョコを型からはずしていく。
「きれいに、出来たね。」
ハートや熊の形などに出来上がった、チョコをラッピングしながら、ミズキは、言った。
「明日が、楽しみだな。」
真央は、そう呟く。
翌日、真央は朝から、落ち着かない様子だった。
チャイムが鳴り、玄関へ行くと、渉がいた。
「お早う。渉。」
「お早う。」
渉も、いつもと違って、緊張していた。
真央と渉は、二人で、適当に話したり、して時間を潰した。
「あのさ、渉。今日なんの日か覚えてるよね?」
「もちろん。今日は、バレンタインです。」
「そう。という訳で私からチョコです。」
(私って言えた。)
真央が、一人、私って言えた事に喜んでると。
「真央、今、私って言った?」
「うん。言ったよ。」
「もっもう一回言って。お願いします。」
「言われなくても、言うよ。私。」
「かわいい」
いきなり、渉がかわいいと、叫ぶので、真央は、びっくりしていた。
「なんでだろ。私って言っただけなのに、真央が、一段と可愛く見えるんだよ。」
渉は、そう言いながら、グリグリ真央の頭をなでる。
「私は、小さな子じゃないから、頭なでられても、嬉しくないぞ。」
渉の手をのけて、真央は、自分から抱きついた。
「真央さん?」
「いーから、そのままで、聞け、いや聞いて。これからも、私の事好きで、いてくれますか?」
「もっもちろんです。」
渉は、どぎまぎしながら答えた。
「約束だぞ。破ったらゆるさないです。」
「おう。」
真央は、しばらく、渉に抱きついていた。
そのあと、こっそりと物陰に隠れて、見ていた、そらに、からかわれるのは、別の話。
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