第36話閑話休題 佐藤ミズキから見た長谷川真央


僕、佐藤ミズキが長谷川家に居候しはじめてもう、一週間もすぎた。


朝、洗面所で僕が顔を洗ってたら、ぼへらーとした顔で、真央が起きてきた。


「お早う。ミズキ。」

「お早う。真央……起きてるのか本当に?」

目を閉じたまま、髪を梳かすなんて器用な真似をする真央に不安になり僕は、訊いてしまう。


「起きてるよ。ほら。」

と言って、目を開いて見せるけど、なんか土偶みたい。


「なあ真央。前から訊きたかったんだけど、

朝が弱いのは、今の体になる前もか?」

「んにゃ、生前(まえ)は、こんなんじゃなかったよ。むしろそらを叩き起こしてたし。」

「ふーん。早く制服に着替えろよ。」


僕は、先に部屋に戻ると制服にきがえる。

急な転校だからまだ、中島中のじゃなくて前の学校の物だ。


鞄を抱えて、部屋を出ると、同じように、制服に着替えて身だしなみを整えた真央が、

いた。


じーっと僕を見つめる真央。


「なんだよ?人を見つめて。」

「なんで、そんなに身長高いんだよ。」

悔しげに、言う真央。入学からさほど伸びてないらしい。

「そんなに、高くないけど。153センチだった思う。なんか知らないけど、にょきにょき伸びてさ。」

入学当初は、147センチだったけど4センチか5センチは伸びたと思う。でも、未希は、160近くあるから、これでも、クラスじゃ真ん中くらいだ。


「羨ましい。俺なんて、148センチから

149センチにしかならかったのに。」

本気で、羨ましがる真央。本当に、素直な奴僕からすれば、真央の素直さ羨ましいけどね。


朝食を食べて、歯磨きをして、家をでる。


「「行って来ます。」」

「行ってらっしゃい。」


桃子さんに見送られて、未希と波奈と合流する。


前は、自転車通学だったから、徒歩で友達と話ながら学校へ行くのは、楽しい。


学校へ着く少し前、渉くんと健人くんを発見する。

僕は、恥ずかしいから健人くんの側には、すぐには行かない。本当は、すぐに行きたいけど。

でも、真央は違うみたいだ。


「渉ーお早う。」

躊躇わずに、渉くんの側に駆け寄っていく。

ツインテールが、嬉しそうにピョコピョコ跳ねてる。

未希と波奈も慣れてるのか、ニコニコと真央を見送ってる。


「ミズキも、私たちに遠慮せずに高橋くんのところに行けばいいのに。」

未希の提案に僕は、乗らずに

「どうせ、教室で会うんだよ。今行かなくてもさ。いいでしょ。」


つい、可愛くない言い方をしてしまう。

本当は、側で健人くんにくっつきたいけど、

恥ずかしいから行かない。


「本当は、ラブラブしたいくせに、素直じゃないな。ミズキは、」

波奈に言われて、自己嫌悪にかられたけどね。


真央みたいに、素直ならいいのに。


僕は、長谷川真央を一言で、こう表現する。


犬みたいだと。



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