第8話 7


「やったぜ、兄貴 オール80点以上」

フフンと 弘に返ってきた全教科の答案用紙を見せる橋田

「ほう、やれば出来るじゃないかバカ弟 」

「じゃ 水族館行ってもいいよな?」

「いいぞ 水族館でも、どこでも 行ってこい」

「よっしゃ!」

と、叫んだあと カーブの応援歌を歌いながら自室へ戻る 弟を観察しながら、弘は勉強嫌いの弟が 本気で勉強するくらい 夢中になる娘ってどんな娘なんだろ?と思った。


橋田が上機嫌で、カーブの応援歌を歌ってた頃、長谷川家では、真央が水族館へ行く時に着る服を選んでいた。


「なー そらどっちが いいと思うよ?」

真央は、2着の服を持ってそらに見せる。

「あれ?決めてなかったけ?デニムワンピかなんか」

そらが、指摘すると真央は困ったような顔して

「いや、あれ辞めて、別のにしようかなって

今日になって 橋田が一緒に行く事が わかって」

ゴニョゴニョ話す真央を見て

「 へーそれは、それは結構な事 それで 雑誌が 山積みになってんだ?」

とそらが、机の上に積まれた 数冊の雑誌を前足で示す。 真央が 近くのコンビニで買った 10代の少女向け ファッション雑誌から何故か20代後半の女性向けファッション雑誌まである。

「 ツッコミたい事は、色々あるけど、とりあえず 好きな男の子の為に努力しようって思ったのは、誉めてあげる。話それちゃったわね、ええと、どっちの服が いいかよね。私はそっちの」

そらが、答えようとしたとき バーンと勢いよくドアが開く。

「まっおちゃーん そっらちゃーん ねぇこれ、真央ちゃんに、似合うと思うのよね?どう?」

ハイテンションな母 桃子が服を持って、現れた。

「母さん」

「ママ 」

真央とそらが 呆れた声を出すも、桃子は一向に気にしない

「 ね、どう?」

「 確かに、かわいいけど、それ なんちゃって制服とか そういうのでしょ?私は、嫌だな

こっちのピンクTシャツと赤のチェックのキュロットのが、真央らしくていいと思うよ?」

「 えー」

そらの指摘に、桃子が泣きそうな顔をする。

真央は あわてて言う。

「俺、それでいいよ うん これ 明日着てくよ。」

真央の言葉に、桃子の顔がパアアっと明るくなる。

「 やっぱり、真央ちゃんはわかってくれると、思ったわ」

ぐりぐりと、真央の頭をなでまわす、桃子。真央は、桃子の意見に反発した時の恐ろしさをわかってるので、反発をしなかった。


翌日、真央は白いブラウスにピンクのリボンを結んで、赤のチェックのプリーツのキュロットをはく 靴下は、紺のハイソックスとスニーカーを合わせた 。

「じゃ 行ってきます。」

真央は、近くのバス停から未希と波奈 それと、橋田と一緒にバスへ乗って中島市立水族館へ向かう。


1時間程で水族館に着く。


人多いな」

中島市立水族館は、新しく改装したためか たくさんの人で、賑わっている。

「ねぇ、2人に別れて 中見ない?」

「じゃあ もう決まりね。私と波奈 真央は、当然 橋田くんとね 決まりね。」

未希のさも当然のような発言を聞いて真央は、抗議しようとする。

「 なんで、俺と橋田なんだよ? じゃんけんで決めるとか」

「だって、こう、したほうが、自然でしょ?」

キッパリと言われて 反論しようかないので、諦めた。


チケットを買って入った後は、2人に別れて見て回った。


真央は、水槽内のお魚を見ながら、

「カラフルな魚ならそうでも、ないけど 普通に食べてる魚だと、こういう所でもうまそうなだなって思っちゃうんだよな…不謹慎だけど。」

真央の言葉に橋田も頷いて、

「それ、わかる なんでだろうな、」

と言った。

真央は、 もうちょい、ましな会話にならねえかなと思いつつ、真央の視線の先にお土産さんが、あった。

「 ねぇ、あそこで、ちょっと買い物しても、いいか?」

「いいけど?何買うんだよ?」

「秘密 」

嬉しそうに、言う真央に橋田は かわいいなと思った。

「発見 スナメリのぬいぐるみ」

小さな子供みたいに、はしゃぐ真央

「スナメリ 本物 見てから買えよ」

橋田は、呆れてたが 真央は気にせず

「 どうしても、欲しかったんだよ。」

会計を済ませて 再び 展示を見て回る。

「スナメリ スナメリ かわいいな 」

「大声で、騒ぐなよ 恥ずかしい」

ついつい、見たかったスナメリを見て騒いでしまい、真央は、橋田に注意されたので

「わりぃ つい ちっちゃい子供みたいに騒いでごめん」

「いや、別に」

2人は、なんとなく黙ってしまう。

その様子を未希と波奈がこっそり見ていた。

「いい感じだねー」

「そうだねー このまま、告白してくれたらいいけど、しそうにないね。」

未希は、思わず舌打ちした。

「大体、橋田が私達に頼んできたのに」

「まあまあ、未希さん怒りなさんな」

波奈は、未希を宥めた。

「 まあ、真央と喧嘩せずに一緒にいれるだけでも、進歩じゃないかな?」

「それも、そうね」

未希は、納得した。

帰りのバスで、未希と波奈は、真央と橋田に質問をしまくって真央と橋田をおおいに、困らせた。

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