第13話13


【本文】

夏休みが、はじまって 2週間たった 8月の初め 扇風機が まわる自室で、Tシャツ ショートパンツ姿の真央は、原稿用紙とにらめっこしてた。

「あーだめだ、書けねぇ なんで、読書感想文なんてあるんだよ。宿題に 」

真央は、シャーペンを放り投げると、机に伏せため息をつく。


「他の宿題は、済んだんけどな こいつだけは、な」

文句言ってても終わるわけじゃなし 真央は、気合いを入れ直して、シャーペンを手に取ると 読書感想文と格闘をはじめた。


書きはじめて、2時間 どうにか、書き終えたところで、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る。

長谷川家の玄関は、インターホンがなくしかも、外を覗き穴もないので、ドアを開けて直接 相手を確かめなきゃいけない 真央は、チェーンをかけたままドアを開ける。

「はーい どなた?」

「真央〜助けてくれ〜」

そこには、幽霊のごとく悲壮感たっぷりのオーラを出しまくった 渉が いた。

「 渉どうした? 幽霊みたいな 顔して」

真央は、渉の出しまくるオーラに若干ひきつつも 声をかける。

「宿題が 全然出来てないないんだよ。」

「宿題? 何の教科が出来てないんだ?」

「 風景画と読書感想文以外 全部 」

「てことは、問題集とかプリント類かよ。」

真央は、顔を思い切りひきつらせて言った。

「 宿題しないと、兄貴に部活禁止を言い渡されて どーしよー」

ようするに、吹奏楽部の練習に明け暮れて、肝心の宿題が、ほとんど 進まず 兄である弘(ひろむ)に部活禁止を言い渡されらしい。

真央は、仕方ねぇなと思い

「 俺、宿題 済んでるから、わかんねーとこ 教えてやるよ。」

渉の顔が 一気に明るくなり 真央に しがみつき

「 真央様 〜お願いします。」

「ひっつくな、暑苦しい えーい さっさと 上がれ 早よ、宿題するぞ」

渉を引きずって 自室へ向かう。

真央は、部屋の隅に立て掛けてる折り畳み式のテーブルを部屋の真ん中に置いて 済ませた宿題を机の引き出しから出して

「 さあ やるぞ どの教科からやる?」

「英語からお願いします。」

渉は、英語の問題集を出して、言った。

真央は、時々怒りながら渉の宿題をみていた。

「 お前さあ、真面目にやれば出来るのに なんでしないの? 1日で、大分済んだ じゃねぇか」

今日1日で、大分済んだ宿題をみて呆れた真央が言った。

「やる気は、あるんだよ やる気は、ただ計画たてて 満足しちゃうんだよな」

「…わかるな それ テスト勉強とか そうだった。で 直前になってあわてるんだよな 前は、よくやってた。」

「 でも、今はそんな事ならないようにしてるんだろ?」

渉に言われて 真央は、

「まあな、未希と波奈と遊ぶ約束とか 部活とか やりたい事しようと思ったら その前にやるべき事やっとかなきゃいけねぇだろ」

「 耳が痛い話だな」

「 ちったあ、これにこりて今度から真面目に宿題しろよ」

真央は、いじわるな笑顔で、言った。

「 気をつけます。」

「約束だぜ 冬休みそんな事したら 許さないからな」

真央は、小指を出して言う。

「はいはい 約束します。」

渉ほ、真央の小指を絡ませてせる。

「 絶対 破ったらだめだからな」

真央は、自分の手で渉の手を包みこみ2、3回ブンブン降って

「 約束 守るおまじない完了」

「なんだよ、それ」

渉は、呆れるが、真央は、気にしない。

「いーじゃん これで、約束破れないだろ」

「まあな」

真央は、立ち上がると

「 もう、帰るだろ?」

「ああ」

「 どうした?」

もう少し、雰囲気大事にしてくれよ。

渉は、心の中でそう叫ぶ。

「 あー本当は、一緒にいてえけど、そろそろ、母さん 用事終わらして帰ってくるからな

色々、面倒くさいからな」

真央は、照れ隠しと言わんばかりに、言った。

渉は、笑って

「 そうか、じゃ帰るよ。また、メールする。」

渉は、くしゃりと真央の頭をなでて、玄関へ向かう。

「 ただいま、真央ちゃん 帰ったよー」

桃子の声が 聞こえる 2人は、あわてて、

「じゃあな」

「うん またな」

挨拶を交わし 渉は、そそくさと帰った。

渉が 帰ったあと 真央は、桃子にあれこれ聞かれて大変だった。

「ねー真央ちゃん橋田くんと何してたの?ねー」

「あーもー母さんうるさい !」

「あーん 真央ちゃんが冷たい」

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