第20話20

11月初め。ますます寒くなり、冬の足音が聞こえてくると 家でも学校でも 職場でも 暖房という物が 出現する季節。

人が 冬を乗り越える為には、必要不可欠な物である。


長谷川家では、ある暖房器具をめぐって 1人と1匹による熾烈なバトルが、はじまろうとしていた。


ダボダボの白いパーカーに 黒い ショートパンツに モコモコ靴下という真央が、リビングのこたつでくつろごうと やって来ると

いつも 真央が、座るとこに 白い毛の塊がいた。



「そら お前 ハーフケットひいてないのに こたつ布団の上で 寝るなよ。お前の毛がついて大変なんだよ。」


真央は、 白い毛の塊それは、丸くなって寝ている そらに 声をかける。

そらは、やかましいと言わんばかりに 耳をピコピコと 動かしてから 顔をあげる。


「いーじゃない 寒いのよ。それに 猫が、こたつで 寝るのは、特権でしょ 猫の」

「意味わからねーよ。しかも 俺の座るとこじゃねーか どけよ。あっちに、お前のハーフケットひいたから そっちに行け」

ぐいぐい手で 押すが、そらは 布団に爪を引っかけて動かない。

「 いやよ。ここ 日当たりがいいから お昼寝するには 気持ちいいの! だから どかない」

「 だから ファンヒーターの前に ハーフケットひいたから そっちに行けっての バカ猫」

「 い・や 真央こそ 自分の部屋で くつろげばいいでしょ」

意地でも 動かない そらに 真央は 名案を思い付く。

「 はあ わかったよ。その かわり後で 半目で寝るお前の寝姿 ケータイで、撮ってやる。猫なんだから 問題ないよな?」

ニヤリと 真央は、笑いケータイを取り出す。

「 イヤー やめて わかったわよ どけば いいんでしょ どけば そのかわりあんたの部屋に行って カーブグッズ めちゃくちゃに してやる。」

言うやいなや そらは、だだっと 走り 真央の部屋に 向かう。

「 おいこら、待て そら まてってば」

真央は そらを追いかける。

あわてて、自分の部屋に駆け込むが 部屋の隅に 整頓して置いてる カーブグッズから、そらは、カーブのマスコットキャラのぬいぐるみを引っ張り出している。


「あー それ お前 最近買ったばかりのやつ」

「 こんな物は、こうだー」

そらは、叫ぶと 口にくわえてブンブン振り回し 爪をたてる 真央は、そらからぬいぐるみを取り返そうと するが そらは、猫の狩り本能に スイッチが 入ったのか 目がマジになり 本気で じゃれはじめる。

「 バカ、そら 放せー やめろ 破れるだろ」

真央は、どうにか そらからぬいぐるみを 取り返すと ガックリと肩を落とす。

「 そらの バカ ぼろぼろじゃねーか 」

「 ごめん 本気になっちゃった。」

素直に謝るそらに 真央は、

「 いや 俺も悪かったよ バカバカしい けんかしたな」

真央は、 そらを抱っこして リビングへ戻る。

「 母さん」「ママ 」

いつのまにか 母 桃子が ちゃっかり 2人がさっき取り合った場所を占領していた。

「 ごめーん ここ座ちゃった だって暖かいだもん」

こうして、真央とそらの こたつをめぐるバトルは、桃子が 場所を占領する事で 終了した。

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