第21話 21


12月のある朝 中島市の最低気温が −5度を記録した。

長谷川家では、桃子が なかなか起きてこない真央を起こしに真央の部屋にいく。

「真央ちゃん 起きなさい!遅刻するわよ。」

と真央を布団から出そうとするが 真央が 布団をつかんで、抵抗する。


「寒い 起きたくない 今 出たら 俺 寒くて 死んじゃう 」

「ハイハイ 意味不明な事言ってないで さっさと 起きなさい 」

と容赦なく 布団を剥ぎ取る。

「 母さんが 意地悪だー」

真央は、文句を言いながら しぶしぶ ベッドから体を起こす。


「 あっそうだ 真央ちゃん 今日いつもより 寒いから ポロシャツの下 これ 着てき行きなさい。」

と桃子が 1枚の インナーシャツ をみせる。

「 えーそれって 着てたら 暖かいってやつだろ?おばちゃんみたいだし モゴモゴしそうだから やだよ 」

真央は、そう言うが 桃子は

「 そんな事ないわよ 真央ちゃん 女の子は、体冷やしたらいけないの!だから つべこべ言わずに 着なさい。」

「 はーい 」

しぶしぶ 真央は、インナーシャツを受け取り

着替える。

「 未希とか波奈にバレたら絶対 バカにされそうなんだけど」

ブツブツと文句を言いながら、いつも着る キャミソールの上からインナーを重ねて着る

と後は、いつも通り 制服を着る。


「 思ったより良いかも 」

真央は、桃子の言うことは、きいておいて正解かもと思った。


朝食を終え 学校へ行く支度をしてると いつも通りの時間に、未希と波奈が 迎えに来た。


「いやー 今日は、一段と寒いねぇ 思わず 着てたら暖かいシャツ 着てきちゃったよ。」

「 あー 私も 夕方 雪が降るかもしれないしねぇ」

未希と波奈の発言に真央は びっくりして

「 2人も 着てるのかよ 着てたら暖かいシャツ」

「うん 寒いし」「 着てるわよ」

2人は、至極当然と言わんばかりに 返事する。

「真央は、着てないの?」

未希にきかれ

「着てるよ。 ただ、おばちゃんみたいだから着てくるのヤダったけど 着てると 暖かい よな これ」

真央は、そう言った。



学校へ着くと 渉に挨拶する。

「おはよう 渉 」

「 おはよう 真央 寒いな今日」

「うん」

ちなみに未希と波奈は、真央から離れて先に 教室へ行っていた。

渉は、急に真央の手を握り

「 冷たいな手 やっぱり、女子は多いな冷え性」

「いきなり なんだよ。人の手握りやがって

渉の手 暖かいからいいけど」

真央は 恥ずかしくて わざと 怒ったように言ってみたけど 本当は、凄く嬉しかった。



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