第41話 38

家庭科室。真央達は、家庭科の授業で、トートバッグを作っていた。


「ミシンの扱いには、気をつけて。間違えて、指縫わないようにね。」


各班をまわりながら先生は、そんな注意をした。


「ひぎゃー。助けてー ミシンがミシンが」

「あーもう、なにやってんの真央!」


真央の悲鳴とミズキの怒鳴る声が、家庭科室に響く。


「ねぇ、長谷川さん何をやったらこうなるの?」


先生は、ミシンから布を外しながら呆れて、言う。

真央が、作りかけのトートバッグは、糸が絡まって悲惨な事になってる。


「すみません。」

「まあ、怪我とかなかったからいいけど。気をつけてね。」

「はい。」


真央は、泣きそうな気分で、糸をリッパーを使って布からとって改めて、縫い直しをする。

自分の作業が、一段落ついたミズキが


「真央。僕が、教えた通りにやってみて。」

「うん。」



「ほら、出来たじゃん。なんで、落ち着いてやらないの?」

縫い終わった布を見ながらミズキは、呆れてる。


「 なんか、こういう作業苦手で」

「料理は、上手だよね?僕より。なんで、苦手なの?」

「裁縫は、細かすぎてイライラするんだよ。

俺は。」

裁縫箱を片付けながら、真央は、言う。


「真央、言葉使い変えた?」

「うん。この前の言葉使いの事言われてから

でも、慣れないから困るぞ。」


教室へ戻ると渉が話しかけてくる。


「真央、さっきの叫び声すごかったぜ。

ひぎゃーって可愛かったけど。」

「可愛いってなに!こっちは、ミシン暴走させちゃって大変だったんだよ。俺の叫び声聞いたんなら、飛んできても、いいじゃん。」

「いやーごめん。俺も大変でそれどころじゃなかったし。ミズキが、いるなら大丈夫かと思って」


(まさか、泣きそうな真央を見たかったから

行きませんでした。なんて、言えないよ。)


真央は、渉が変な事を考えてるとは、知らずに話しを続ける。


「大変だったんなら、仕方ないか。授業中だし、無意味にこれないよね。」


上目遣いに、話す真央。


(無意識なんだろうけど、上目遣いで、話すなよ。つーか、言葉使い少し、変えただけなのに、可愛さパワーアップしてねえか。)

渉は、真央の可愛さに、たじたじだった。


「ねぇ、明らかに、渉くん。真央の無意識の行動に、困ってるよね?」

「多分な。真央の身長だと、どうしても上目遣いになるからな。可愛く見えるよな。」

「僕の前で、真央の事褒めるんだ?」

「別に、褒めてない。」

プーッと膨れ面になるミズキを健人は、宥めた。


少し、離れた場所で、二組のバカップルの会話を聞いていた未希と波奈。


「ねぇ、未希。あのバカップル共抹殺してきていい?」

「波奈。笑いながら、恐い事言わないで。まぁ、少しウザイけど。」

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