第27話 26



昨日のスーパーでのやり取りから真央は、光と一言も口をきいてない。


「真央、お早う。」

朝、洗面所で光と会ってもチラッと視線を向けるだけで、真央は、返事をせずぷいっと出ていく。

「はあ、まだご機嫌ななめのままか。」

光は、顔を洗ってからリビングへ行く。

「 お早う。姉さん」

「お早う。バカ弟」

こたつに、座って朝食を食べていた、桃子からバカ弟呼ばわれする光。

「バカって姉さん。」

「真央のご機嫌ななめしたのあんたでしょ。どうにかしなさい。」

言いたい事を言うと、朝食のパンを食べる桃子。桃子のむかいに、光は座ると、

「 そういえば、真央は?」

「昨日から、自分の部屋に立て籠り中よ。

あんたと、話たくないってさ。」

「 そっか。」

光は、ガックリ肩を落とすと、それ以降、口を開かなかった。


同時刻、長谷川家の前をうろうろする渉。


「はー来たは、いいけど、どうやって真央に会えばいいんだ?あの、叔父さんめっちゃ怖そうだし。」

「家の前で、うろうろするくらいなら、チャイム鳴らせばいいでしょ。」

「うわあ、そら!しゃべった?!」

渉の足元にちょこんと、座ったそらが、喋りかけたのにビックリしてパニクっていたら、

「そんなこと、今は、どうでもいい!早くこっちへくる。」

「へっ?ちょっとまってくれ。そら」

「いーから!」

そらは、渉のズボンの裾を、くわえてグイグイ引っ張り強引に、連れていく。

渉にドアを開けさせ、そらは、家に入る。


「 真央。渉くんが、来てるよ。あと、叔父さん出てきなさいよ。つうか、出てこい!」

そらの呼びかけに、真央は、出てくるが光は、出てこようとしない。

リビングから半分だけ、顔を出して、渉をじっと見てるだけ。

「ちょっと、叔父さんいつまでも、中学生相手に大人げない事してないで、出てきなさいよ。」

「そうだぞ!」

真央とそらに、怒られても態度変える気ゼロの光。

そんな光をパカンと、桃子が丸めた雑誌で殴る。

「痛い。姉さん。」

「お黙り。とっと、行って話してこい。このおバカ。」

桃子は、笑顔で 光にそう命令を下す。

「分かりました。お姉様」

光は、観念してリビングから出てくる。

渉は、光の前に立ち、自己紹介する。

「突然すみません。押し掛けて。俺は、橋田渉と言います。真央さんと、お付き合いさせて、頂いてます。」

光は、しっかりとした目で話す渉に感心し、自分の大人げない態度を詫びる。

「いや、昨日はすまなかったよ。俺も大人げなかった。」

「叔父さん、昨日は、ごめんなさい。大嫌いなんて言って。」

真央も光に謝る。

「もう、いいよ。気にしてないから」

「本当!やったー」

「なあ、真央喜んでるとこ、申し訳ないけど。そらが、なんでしゃべったのか教えてくれないか?」

渉の発言に、光が驚いて、

「まさか、真央話してないの?自分の事。てっきり、俺、話してあるのかと思ってたよ。」

「 俺の事は、話したよ。そらの事は、なんていうか話づらいんだよ。理由が理由だし。」

「私が、今度説明するわよ。それより、真央と渉くんは、誕生日一緒に過ごすって言ってたけど、どうするの?」

「何も、考えてないな。」

「そういえば。」

「ウソでしょ。渉くんは、明日、真央は、明後日よ。どうするの?」

そらのツッコミに二人が、困ってると光が助け船を出す。

「明日、初日の出見に行くか?三人で、朝早いけど、いい思い出になると思うぞ。」

「いいかもな、それ」

「マジで、いいんですか?俺、毎年親父と兄貴と見に行ってたけど今日に、なって急に親父が、行けなくなって中止になったんだよ。」

「じゃー決まりな、明日5時に集合なここに。」

「ありがとうございます。」

こうして、三人で初日の出を見に行く事になった。



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