第4話 4

「 うひひ」

あからさまに怪しい笑い声を出しながら歩く少女 がいた。

日曜日の昼間、犬と散歩したり、小さな子を、連れたお父さんなど 歩いてるのだが皆その少女を避けていた。


「長谷川、 何 昼間からニヤニヤしながら歩いてんだ 皆お前の事避けてるぞ」

呆れ顔の橋田 笑いながら歩いてた、真央にそう声をかける。

「あー 本当だ、 いやー嬉しくてよ、ついな」

また、うひひと笑う真央に 橋田は、呆れつつ質問する。

「 何があったんだよ?」

「 カーブのシバケンのサインボールが当たったんだよ。」

と嬉しそうに言う真央 橋田は、数秒固まり

「 マジかよ 先週テレビで、視聴者プレゼントしてたやつか? 1名しか当たらないやつ」

「 そうなんだよ。当たるわけねーって思ったんだけど、おもいきって応募したら、当たったんだよ。」

「 ちょっと長谷川 見せろ ちょっと」

「いーけど、あるの俺ん家だぜ」

「それでも、いいから見せろ なっ」

「 それなら、来るか うちの家」

「おう」

2人連れだって走っていく そんな、2人の姿を見てる怪しい2人組がいるとも知らず


「波奈さん見ましたか?」

「バッチリ見ましたよ 未希さん」

未希と波奈の2人は、偶然 橋田と真央が会話してるのを発見し今まで2人にみつからないよう近くの塀に隠れて、観察してたのである。

「波奈 真央を誘って買い物に行くのは、また今度にしましょう」

「そうだね 邪魔しちゃ悪いし あーそれにしても、あの2人仲悪いのか良いのかわからないねー」

「そうね 今さっきの やり取りも男同士の友達にしか見えないし」

「だねー」

未希と波奈は、そんな会話をしながら目的地へ歩いていった。


その頃、長谷川家に着いた 真央と橋田

「ただいま 母さん 友達連れてきた」

「あらまあ、真央ちゃんお友達 連れてきたの」

ニコニコと話す桃子に 橋田は、自己紹介する

「俺、橋田 渉っていいます。そのいきなりすみません。 変な意味じゃなくて」

隣の真央を見る勢いで来たもののよく考えたら、こいつは女だった。 親に変に思われると橋田は考えてた。

しどろもどろな橋田を見て桃子は、

「 どうせ、真央ちゃんがろくに考えずに、連れてきちゃったんでしょ?気にしなくていいから」

橋田は、ホッとして家に上がる。

「お邪魔します。」

ペコリと頭を下げて橋田は、真央の後を追いかける。

「 真央ちゃんたら 自分が女の子って事忘れて

そりゃ困るわよね いきなり、女の子の家に行くの しかも お部屋に2人きり分かってるのかしら? あの橋田くんは、大丈夫そうだけど」

桃子は、1人呟きながら 2人にお菓子を持ってこうと準備する。


「 おまえの部屋すげーなカーブグッズだらけ」

「 ちっちゃい時からカーブのファンなんだよ。今 沢山カーブ ガールむけのグッズあるからなつい買っちゃうんだよ。」

部屋の隅は、地元球団の東堂とうどうカーブの女性むけ応援グッズが、整頓されて置いてあり、 壁には、シバケンこと柴田賢一投手のポスターが、貼ってある。

「今日のコーデだってカーブのチームカラー入れてるし、髪は、カーブのシュシュだしよ」

と真央は自分の髪を指さす。

橋田は、改めて真央の服装を見る。上は白Tシャツ紺のパーカーそして、カーブのチームカラー赤のスカートを履いてる。

髪は、いつもと違いサイドテールにしてカーブのシュシュでまとめてる。

「 ガチでファンだなお前!」

「うん」

ニコニコしながら言う真央に、橋田は、可愛いなと思うが、肝心の真央は そんな橋田の思いを知ってか知らずか

「 これが、例のサインボール すげーだろ?」

机から、シバケンのサインボールを出して 橋田に見せてる。

「すげーな 」

やっぱり、こいつは 見た目女 中身男だ。

子供みたいに、サインボールを自慢する姿を、見て橋田はそう思った。

2人で、 野球の話でもりあがる、橋田は、気になってた事を指摘する。

「お前さ、スカートで体育座りすんなよ。少なくとも、男の前で」

「 あーまあ キュロットならいいかって思ってたけど やっぱりヤバい?」

「当たり前だ!」

橋田に怒鳴られて、真央は頬をポリポリかきながら

「今度から 気をつけるよ。」

「今度じゃなくて、今すぐ」

「はい」

真央が、正座すると、橋田は満足気に頷き

「素直でよろしい」

これだから、そらに怒られんだなと真央は、思った。

「じゃあな 」

「ああ、明日学校でな それと、気を付けろよ本当 男の前で無防備な格好するなよ。今日みたいに 男を家に連れてくなよ。お袋さんいたからいいけど」

「わかった」

本当に分かってんだろうかこいつ 橋田は、そう心配しつつ自分の家に帰った。


橋田が帰った後真央は、そらからたっぷり説教をくらってた。

「いーこと、あの橋田くんが、紳士だったからよかったけど、でないと、本当ヤバかったわよ。」

「はい、反省してます。」

暫く、そらからガミガミ説教されていた真央だった。


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