2章 ケンカする程仲がいい?

第5話 5

翌日、月曜日の朝 真央は、橋田と一緒にいるところを偶然見た 未希と波奈に昨日の事をしつこく聞かれてた。

「本当に、野球の話で盛り上がっただけ?」


「本当だって 嘘だと思うんなら 橋田にも聞けよ」


真央の話を聞いて2人は それ以上食いついてこなかった。


2人が 昨日見たテレビ番組に話題を変えたので、真央がホッとしてると


「長谷川 !」


橋田が呼んでいる。さっきまでの話題が 話題なだけに、勘違いされそうだなと真央は、思うが無視するわけにいかない。


「なんだよ?」

「 今日の放課後、図書委員で図書室の整理する日だ忘れんなよ。」


そういや、こいつと俺 図書委員だった。

クラス委員より楽だからと立候補したら男子の委員なり手がいなくて じゃんけんでこいつに決まったったんだ。

あの時は、あんな事になるなんて、思ってなかった。


また、未希と波奈に色々きかれそうだ。

確か、図書室の整理で 各クラス二人組で担当を割り振られるはず、橋田と2人きりにならない方法は、ないか考えたが、何 もアイディアが出ないまま、放課後になった。


「はーい、皆揃ったわね?、事前に通達した通り、今日は、新しく本が入ったので 古い本を整理して 処分する本とそうでない物にわけます。 本棚毎に担当を振り分けます。

お互い、協力してね。でないと怪我します。

重い本が多いからね。」



顧問であり真央達の担任でもある鈴木先生が、チラリと橋田と真央を見た 常にけんかを繰り返してるせいだろうと、真央は、思う。


真央達は、百科事典が納められた本棚を担当することになった。


「よっと」

真央は、百科事典をまとめて4冊ほど抱えるが 思ったより重い。

「 んぎーなんで?」

前は、このくらい楽勝だった。 父親が死んでから仕事は、真央の仕事だったからだけど、少し持っただけで、 すぐ限界がくる。

「 長谷川 なにやってんだお前、女のお前が、そんだけ持つのは、無理に決まってるだろうが、2冊にしとけ」

と、橋田に取り上げられる。

軽々と百科事典を持ってく橋田の姿にかつての自分が重なる。

よく、そらやクラスの女子が重たい物を持ってるのを、見るに見かねてよく変わりに持ってた。

それが、今は逆だ

真央は、自分の手をみつめる男だった頃は、ゴツゴツとして大きかった。

体だってそうだ 今と同じ中1だった頃でも女になった今は、丸みを帯びた体で柔らかい線を描いてる。

真央は、自分は、女で前のように重たい物を軽々と持ったり出来ないそう思うと情けなく悔しい 泣けてくる。

実際涙がボロボロてできた。

「長谷川?どうした、急に泣いて?なんかあったか?」

橋田が 優しく聞いてくる。

泣き止むまで、頭をなてでくれた 泣いた理由を言わないのにせめたりせず黙って側にいてくれた。

意外と優しいんだと真央は、頭の隅っこでそう思った。

「落ちついたか?」

こくりと頷きながらハンカチで涙を拭いた。

「わりぃ 急に泣いて 」

「なんでかは、聞かねぇでもよ、泣きたくなったら俺のとこで泣け胸くらい貸してやる」

とても、中1のセリフじゃねぇと真央は、思ったが口には、出さずに頷いた。

「ところで、そのハンカチ だらけた熊じゃん 意外と可愛いの持ってんだな」

と橋田に言われてハンカチを隠す。

小学生 中学生の女子の間で人気のだらけた熊 腹巻きステテコの親父スタイルの熊が

だらけた格好で テレビを見てるイラストの描かれたハンカチを見て橋田は、笑う。

「笑うな、好きなんだよ だらけた熊 悪いかよ」

何時もの調子に戻って橋田と真央は、けんかした。

鈴木先生が、止めにくるまで、けんかは、続いた。

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