概要
ところがある日、冴城は下校時にクラスメイトである織枝静葉(おりえ・しずは)から呼び止められ、思いも寄らぬ提案を持ち掛けられる。
「冴城くん。私と一緒に、同人誌を作りましょう」
知らぬ間に冴城は、地元の同人ショップに出入りしているところを目撃され、織枝にオタク趣味を把握されていたのだ。
そして織枝は、冴城を見込んで、同人誌制作を手伝って欲しいという。
実は、彼女もまた熱心な『ラブトゥインクル』シリーズのファンで――
つまり、二人は互いに「同好の士」だったのである。
何でも織枝は、夏
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ぜひ映像化を!と願わずにはいられない
一つのものに一緒に携わると、連帯感が生まれ、やがて恋慕に変わることもある――
単調になりやすい同人誌の制作過程を読ませるのはさすがですね。同人誌作りたくなりました(笑)
それくらいの創作への愛情が伝わってきます。
創作を通して、ずっと抱えていたお姉ちゃんへのコンプレックス、ヒロインの成長、主人公との関係がどう進んでいくのかとてもわくわくしました。
映画のような雰囲気のある盛り上がりに鳥肌。
坂神氏の小説はいつも映像が浮かびます。
アニメ化して欲しい!と思う表現ばかりなのです。
個人的にSNSとタイトルに触れるシーンが一番好きです。
ラブコメが楽しめて、創作したくなるお話。
書き手なら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!アイデアさえもドキドキに変える青春ラブコメ
もはやカクヨムにおいてラブコメ語らせたらこの人の右に出るものは少ないだろうSAKAGAMI師。
いまさら師の書かれる物語が面白いだなんだ語るつもりはありません。
レビュー放棄? いえ、ちょろっとでも読めば、気が付きゃ読み終わってますから、レビューは読み手の皆様にお任せします。
しかし、今回あえて拙いレビューを私が書くのなら、その表現力の面白さである。
物語の完成度の話ではない。前述したとおり、今更語る必要などないのだ。
そう、今回書かせていただきたいのは、師の表現技法だ。
文字の中に音色を感じる技法、そしてわざとらしくなくやりすぎないアプリの表現だ。
これね、使えるよ。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!薄い本にかける熱い思いと、恋と青春の一ページ。
同人誌、ネットでは揶揄するように「薄い本」と呼ばれる、主に商業作品の二次創作を指します。
本作の主人公は、同級生の女の子から不意に同人誌、それも人気アニメの百合、女の子同士の恋愛ものを作らないかと迫られます。
戸惑いつつも申し出を引き受ける主人公。作画する設計図、ネームを担当しますが――――
二人のやり取りを通じて、同人誌を作る過程、印刷所に頼むところや料金、どんなジャンルにするか。
創作する上で、自分の今現在の力量、自尊心と自己満足とのせめぎあい、ほかの上手な人と自分を比べることでの劣等感。
ヒロインの色んな感情が描かれています。
それと同時進行で描かれているのが、二人の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!まぎれもなく青春!
高校一年生の冴城と織枝が初めての同人誌を作ります。
百合物が好きな女子である織枝が感じている孤独。
ああ、なるほど、同好の士を得るというのは難しいことなんだね、と彼女の境遇に共感しながら読み進めていけました。
女の子が近くにいてちょっとドキドキしながらも、同好の士として自分にできることを考えていく冴城にも好感が持てます。
同人誌の作り方の説明もすんなりと読めました。
なるほど、なかなか大変な作業なんだな、と興味深かったです。
さらには同人活動をしていくことの尊さについても深く掘り下げられています。
オタクが主人公ということで敬遠するのは少しもったいないかも。
高校生のひと夏を描いた…続きを読む - ★★★ Excellent!!!創作を志す全ての人たちへ捧ぐラブコメ!
オタクの恋なんて、チョロいもんである。ちょっとでも優しくされようもんなら、たちまち落ちてしまうものだ。
まして、「誰でも良かったわけじゃない」などと暗に特別であるかのように扱われれば尚更である。……あぁ、過去を思い出す、ココロガイタイナー。
のっけから脱線してしまった非礼を詫びつつ、これは、創作を志す全ての人の目に触れて欲しい作品である。
その読みやすさは決して安っぽいからではなく、スッと入り込んでくる文章。そして、さりげなく描かれた複線は、危うく読み逃しかねないほどに自然で巧みでもある。
同人誌を作成しながら「同好の士」である二人が「恋人同士」に距離を縮めていく様は尊く、薄…続きを読む