第20話 どうして
…何だか今、凄いことを言われた気がする。
「…え、は、え?」
「…違いました?」
「…違うけど、え?何でそがん事に…」
俺と先生が付き合ってる?
そんな幻、起こってくれてない。
世の中は残酷な程に甘くない。
俺の恋路は苦々しい。
「二人とも仲が良いし」
「顧問と部員やけんがよ」
「…それにしては、二人とも特別って感じがしますけど」
「特別…?」
かはっと喉を締め付けられる。
どくどく、背中の脈が煩く走った。
特別。
確かに先生は、俺の特別だ。
どうして、どうして?
何でバレたんだろう。
頬が熱い。
恐怖と戸惑いで目元が潤んでいくのが分かる。
「え、崎本君!?どうしたんですか…っ、泣かないで…」
「ごめ…ちょっとびっくりしたっていうか…」
「…ごめんね。変なことを言ってしまいましたね」
「ううん」
俺の顔を覗き込んできた寺ちゃんは、優しく頭を撫でてくれた。
温かい手。
彼は男が男を好きになる事に偏見は無いのだろうか?
気持ち悪いとか、思わないのだろうか?
若さは時に残酷だ。
何にも包まれていない刃を、勢い良く振り下ろしてくる。
いや、歳は関係ないかもしれない。
楽しげな瞳は、どの年齢でもするだろう。
寺ちゃんは?
寺ちゃんは、今何を思ってこんな質問をしたのかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます