第15話 10年早い
「何、崎本君てば反抗期?」
そのままこっちに来た先生は、ゆるりと寺ちゃんにそう尋ねた。
「…どうでしょう?」
「反抗期じゃなかし!」
うーん、と首を傾げた寺ちゃん。
俺は、思わず強く否定した。
後ろでは女子が「崎本君、腹から声出せたとね…」と、何やら感心している。
だ、出せるよ!出せたよ!
普段、声ちっさくてすいませんね!
モヤモヤしすぎた俺は、色んな所につんけんしてしまった。
少なくとも、寺ちゃんと女子は悪くない。
でも
「どうしたの。先生が、話を聞いてあげよう」
ニヤニヤと笑いながら、前の椅子を引いて、こちら向きに座る先生。
この人には、やっぱりむかつく!
「…先生、女子とめっちゃ喋っとるやん」
「…女子?それで拗ねてるの?」
「……」
「…嫉妬って事?」
「――っ!」
図星を突かれて、俺は顔に熱が集まるのが、解った。
ば、馬鹿だ俺!
こんな事を言ったら、嫉妬している理由が、バレるに決まってるのに。
どうしよう。
気持ち悪いって思われたら、どうしよう。
俺は俯いて、唇をぎゅっと噛み締めた。
「…美術部以外は、帰りなさい。他の皆も、静かにする事」
先生は、スッと立ち上がり。
きゃっきゃしている女子達を、追い払った。
…な、何で急に?
ぽかんとする皆。
(勿論、俺も含まれている。)
そして無表情になった先生が、俺を見て一言。
「崎本は女子と絡むのなんか、10年早い」
先生はそう言って、そのまま準備室に戻ってしまった。
「……え?」
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