第12話 ラーメン






「あー・・・すいません。俺、ラーメン詳しくなかです」


「はっ!?ありえねー!」


「あんまり食べないんですか?」



ぼそぼそと言う俺にぎょっとする先生と、首を傾げる寺ちゃん。


な、何なんだ。

ラーメン大好きっ子なのかな?


とりあえず、二人の異常なテンションにタジタジ。



「…ん。あんま食べん」


「人生損してるぞ、それ」


「同感ですね。美味しい物はもっと食べるべきです」


「………」



ガチ勢だ。

ラーメンのガチ勢だ。


俺はかなりドン引きしている。



「たまに食べるよ?」


「味噌?」


「そこは豚骨でしょう?」


「いや、あれ匂いキツイって」


「あー・・・先生って、元々東の人でしたっけ?それならキツそうですね」


「………」



俺を置いてけぼりにしてポンポンと話していく二人。






これは、制作に戻って良いんだろうか?


良いよね?うん。


俺は無言でラップをぺたぺたする作業に戻る。

あの二人がこんなに喋っているなんて。

なかなかレアな光景だと思う。





話はどうやらトッピングの話題に移ったらしく。

楽しそうな彼らの邪魔をしないように、俺は横目で微笑む。


何だか、いつもより子どもっぽいな…。


後からやって来た美術部員も、笑ったりその話に参加したり。

意外と皆、ラーメンが好きらしい。


何だかラーメンが食べたくなってきた。

結局、電停の目の前とアーケードの入口は、どちらが美味しいんだろうか…。



因みに、俺は縮れ麺の豚骨スープ、トッピングは味玉ラブです。





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